◆見たくないものと知りたくないこと ページ35
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ベッドの上に、女性が横たわっている以外、視界に入る物は何も無い。
その女性は胸の上で手を組んでいて、その胸は全く上下していない事から、息をしていないのが窺えた。
肌は陶器のように白く、唇は紫がかっていて、明らかに体温が低いであろう事も伝わってきて。
身に纏っている物は、海のように深い蒼のワンピースと、同じ色のハイヒール。
その体は既に生命としての役目を終え、「ヒトだったモノ」になってしまっているのだ…と。
直感で分かった。
ふと、生物の息遣いを感じて部屋を見回すと。
以前も見た事のある室内で。
自分の後ろにあった椅子に誰かが腰掛けていた。
その人物は足を組んで腰掛けていて、以前見た人物とは醸し出す雰囲気が違っていて。
座ったままの姿勢で頭を撫でてきた腕に隠れて、その人物の顔は全く見えない。
『折角だから綺麗にしないとね』
その声は、アンドロイドのように機械的に加工されているようにしか聞き取る事が出来ず。
椅子から立ち上がった人物は、帽子を目深に被り、顔は殆ど見えず。
視界に捉える事が出来たのは、楽しそうに歪んだ口元だけだった。
その光景が。
あまりにも整合性が無くて。
動揺した頭が、
勝手に思考を停止してしまう。
立ちあがった人物はベッドサイドに近寄ると、ギシ…と音を立ててベッドに腰掛け。
横たわる女性だったモノを自分の背中に荷物のように雑に背負うと『よいしょ』と小さく呟き立ち上がる。
帽子で影になり、変わらず表情は見る事が出来なかったものの。
こちらに視線を向けているのが伝わってきた瞬間、その人物は両方の口元を上げた。
『………ね、………なんだ』
途中ハウリングのようになって聞きとれなかった言葉に気を取られている間に。
その人物は、ベッドに横たわっていた女性だったモノを背負い、部屋を出て行った。
どの位の時間、そのまま茫然としていたのか、誰かが部屋に駈け込んでくる物音がした。
物音がした方向に目を向けると、先程とは違う人物の気配。
ベッドの手前まで来るとその歩みを止め、力を失くした掌から何かが床に落ちる。
掌から落ちたモノは。
液体の入った小さな瓶で。
「な………どうして………」
目を大きく開き、その場に立ち尽くしていたのは。
上島さんだった。
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黒衣(プロフ) - ジュンさん» 逝ってしまいましたね…ジュンさんのおっしゃるような存在だったと思うので、そりゃあね…書いてる本人が切なくなってましたよ…。ニノちゃんのいろんな場面で傍に居てくれるのは、出来うる限り翔さんが良いな…なんて思ってます。 (2016年11月14日 18時) (
レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - しのぶが逝っちゃった。ニノにとってはお姉さんのような母のような師匠のような、どれもそうで違うような、大切な人だったのにね。今回もつくづく翔ちゃんが居てくれて良かったです。 (2016年11月14日 6時) (レス) id: 4c513d08fd (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 櫻さとみんさん» わ〜！ありがとうございます！朝から雪ですか！そりゃ寒い…Σ(ﾟдﾟ；)体調などお気を付け下さいね？そこそこな(笑)ムロ鍋美味しそうですよね♪た、多彩！う、嬉しい…(;Д;) 頑張ります！ありがとうございます！ (2016年11月5日 13時) (レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻さとみん(プロフ) - 黒衣さま こちらも楽しみに読ませて頂いています。わが地方 朝から雪です(((・・;) 寒いです！ そこそこな(笑)ムロさんのムロ鍋 食べさせて下さい！ 多彩な黒衣作品 これからも楽しみにしてますね(^^)v (2016年11月5日 8時) (レス) id: 05f33a3645 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» ムロさん、来ちゃいました。潤くん大好きですからね(笑) しのぶさん、こき使ってますしね。翔さんも潤くんもニノちゃんになんだかんだ甘い(笑) 楽しんでもらえてるみたいで嬉しいです(*>ω<*) ありがとうございます！ (2016年10月26日 1時) (レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒衣
| 作成日時：2016年9月13日 22時
