◇7 ページ43
◆SIDE-YOU◆
やっと離されると、すっと引き寄せられ、翔くんの胸に顔を埋めている姿勢になる。
『………は、はじめてなのに〜///』
翔くんのシャツをぎゅっと握りながら、恥ずかしさで顔が上げられない…。
頭の上からクスッと小さい笑いと「マジか」という言葉が聞こえて、なんだか悔しくなって翔くんの胸をぽすぽす叩く。
「A」と呼ばれた声があまりに優しくて、ゆっくり顔を上げると、普段ではお目にかかれないような、優しい表情をした翔くんが私を見ていた。
「恥ずかしそうなトコ悪ぃけど
もう少しだけ……いい……？」
その言葉を言い終わるのと同時くらいに、翔くんの唇が降ってきた。
啄ばむように、何度か唇を吸われ…。
「…キスの仕方、教えてやるよ…」
優しい声色で、唇の力すこし抜いて…、と言われ素直に従ってみると、さっきよりもくっついてしまいそうな感触に、体の表面が痺れるような感覚が襲う。
唇、吸ってみて、そう、優しく…と、翔くんに言われるままに唇を何度も重ねる。
ドキドキが苦しいよ…。
どんどん息が上がってくる。
少し唇が離れた隙に息を吸おうと、唇を開けた瞬間、唇が重ねられ、翔くんの舌が入ってくる。
その感触に、ビクッと体が反応して、翔くんを押しのけようとしたけど、後頭部と腰に回された手に押さえられて、逃げられない。
舌を絡められると、少し血の味がして、それも何故かワルイコトをしているような錯覚に陥らせる。
口の中で翔くんの舌が器用に動いて、舌を吸われ、絡めとられる。くちゅ、くちゅ、と音が聞こえて。
恥ずかしさでいっぱいなのに、翔くんの唇の柔らかさと絡められる舌が、とても気持ちよくて。
途中から、もっと、もっと…と思ってしまう。
少し離れては、お互いに、はぁ…と息を吸って、瞼を開けて、視線を合わせる。
翔くんの色気、ヤバいよ…。
「…なんかお前、可愛いな…」
え…？と思った瞬間、今までの優しさが嘘みたいに、奪われるように唇が塞がれる。
噛みつかれるように唇を吸われ、深く差しこまれる舌に翻弄される。
捏ねられるように絡められ、息をする暇も無い…。
食べられてるみたいに、奪われるみたいに重なる唇と絡む舌。
黒ずくめに見せた、感情丸出しの翔くんみたい…。
足に力が、入らない…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
