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◇14 ページ14

◆SIDE-YOU◆




旧校舎は苦手だ。




今はほとんど使われてなくて、1Fの教室が部室代わりになっていて、2Fから上に入る人なんて、殆どいない。


新校舎より薄暗いし、何だか「入ってくるな」っていう雰囲気も感じる。
だから上には一度も入った事が無かった。




音楽室はあの樹が見える3Fの一番端。


なんだかドキドキしてきた。




<Aちゃん、大丈夫だよ
 思い出しておいで>


智くんの声が聴こえる。




……………思い出す?




その声に背中を押され、3Fに向かう。


階段から3Fを見上げると、薄黄色の壁があった。
「入ってくるな」は、多分コレだ。




きっと、「ナイト」のテリトリー。




ちょっと怖い。でも何故か知りたい。


…何を知りたいんだろう。


ナイトのこと?それもある。
でも、何か違う気がする。




恐る恐る触れてみようとすると、それには感触が無く、するりと3Fに入る事ができた。


その壁に自分が吸い込まれていくような感覚。


吸い込まれた瞬間、聞こえたのは綺麗な歌声と、懐かしいという気持ち。


操られるように、声の方向に足が進む。
自分の体が勝手に動くけど、不思議と怖くないのは何故だろう。




音楽室の扉を開けると、窓際の机に腰掛け、窓の外を見ている人影。


その後ろ姿は、薄く黄色に……金色にも見えるように光っていた。


扉を閉め、その人影に歩みを進め、横に並ぶように立つ。








その「ナイト」を見ると、
懐かしい面影。
記憶が頭をフラッシュバックする。








細く色白の体、薄茶色の瞳、サラサラの金髪、口元をくいっと上げる悪戯な表情、綺麗な歌声。


その面影そのまま大きくなった、彼がそこにいた。


ある日、急に居なくなった仲良しの
「オトモダチ」。


哀しくて悲しくて封印した記憶。




薄茶色の瞳がこちらを向き、優しく微笑む。あの頃いつも私にだけ見せてくれていた表情。


嬉しいのか悲しいのか、何だか分からない、ぐちゃぐちゃな感情が爆発しそうになる。
爆発しそうな感情が、言葉の代わりに、涙で流れ出た。




何なのこれ。どうして。生きてたのね。元気そう。大きくなったね。相変わらず声綺麗。何なのこれ。淋しかったよ。悲しかったよ。生きてたんだ。嬉しい。逢いたかった。逢いたかったよ。何これ。




ハハッ、と笑うと頬を染め、ぽんぽんっと、私の頭を優しく撫でる、そのやり方も変わらない。




「久しぶり、お姫様」




そう言って和也は微笑む。




 

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作者名:黒衣 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年2月18日 8時

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