◇12 ページ12
◆SIDE-YOU◆
＜そもそも智くんさぁ…
雅紀とか、なんかさぁ…
なんで仲良さそうなのよ？＞
翔くんが少し俯いて、頬を膨らまして、赤いぷっくりした唇を尖らせながら、上目使い。
間違いなく、拗ねている。
翔くんて、こんな顔もするのか。
＜翔ちゃん超可愛い♪＞
智くんは、ふにゃっと笑い、なんだか嬉しそうだ。つられて私も笑う。
翔くんは、ブフッと吹きながら、顔を赤くしている。うん、可愛い。
相葉雅紀と名乗ったその人について、智くんが教えてくれた。
お気に入りの場所があって、その場所がとても落ち着くからそこで絵を描いてて、いつの間にか彼も来るようになっていて、当たり障りの無い会話をするようになった。
いつものように絵を描いていて、彼が昼寝をしていたある日、天気雨が降って。
「戻るの面倒くさかったんだよねぇ」
智くんは自分達が濡れないようにチカラを使ったんだそうだ。
ふと、視線を感じて振り返ると、昼寝をしていた彼が、肩に小鳥を1羽乗せて、まっすぐ見ていた。
「やべぇかな」とは思った、と智くんが微笑む。
彼はニコッと笑うと小鳥の方を向き、「うん」と言うと、仄かに翠に光り。
「オレはこういうのなの」と、ざあっという音がして上を指差すと、その樹の枝で雨が遮られた。
相性良いハズだよね、と２人で笑って、「改めてヨロシク」をしたんだそうだ。
＜んで、翔ちゃんに言ったら
さっきみたいに叱られた＞
≪そりゃそうだわ(笑)≫
＜そりゃそうだろ！！＞
あははっ、と智くんは笑い、翔くんはプリプリしている。
どうやら相葉雅紀と名乗った彼は、こことは違う「建物」にいるらしく、だから「大丈夫」なのだと智くんは微笑んだ。
そして「あとは雅紀に教えてもらえ」と翔くんは腕を組み、フンッと鼻を鳴らす。
仲良くなるかどうかは任せてもらえるらしい。
その様子から「仲間」になるかもしれない相手というのが分かった。
「私次第」という事か。
次の日も晴天だった。
私はあの樹へ向かう。
彼は根元に座り。
今日も肩に小鳥。
ふと私に視線を向け。
向日葵のように笑う。
「雅紀って呼んでね」
そう言うと、左腕のリングを見せた。
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