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◆SIDE-A◆
「たまには雨でも遊ぼ!」
そう言って雨の中にキミを引っ張り出してみた。聞いたら、雨は嫌いじゃないみたいだし。
雨の中で遊ぶなんて、小さい子供くらいしかしないから、キミは久しぶりみたいだね。
だってさ?
雨の中で遊んでると、世界をひとりじめしてる、みたいな気持ちになったりしない?
そう言うと『確かに!』って笑ってくれた。
でしょでしょ!
雨っぽい曲を歌い始めたら、一緒にキミも歌い始めて。樹の枝も合わせて揺れる。
曲に合わせてステップ踏んだら、足元の水が跳ねてキラキラして、何だか嬉しくなる。
キミの声がキレイで、雨の滴もキレイで、何だかテンション上がっちゃう!
調子に乗って、キミを抱っこして、グルグル回ってみた。
『きゃ〜〜〜!』って言ってるけど、結構楽しそうに笑ってる。
オレが笑ってるからかな?
キミも笑ってくれる。
それで良いじゃん、ね?
天気雨が止んでる向こうに虹が見える。
「ほらほら!あっち!」
指さしたら、一緒に子供みたいに喜んで。雨で外にいたから見れたね、って笑い合った。
ね?
もう世界は、悲しいだけじゃない。
悲しいことも辛いこともあるけど、綺麗なことだって、まだあるよ。
だから、笑ったら楽しくなるの。
もし神様に祈って、キミを安らかな場所に連れて行ってくれるなら、いくらでも祈るんだけど。
そこまで子供でもないんだよね。
雨の中で歌って遊んでるのが楽しくて、全然気付かなかったガラスの向こう。
恐ろしく綺麗な顔を歪ませて、腕を組んで今にも舌打ちしそうな、帝王様が睨んでいらっしゃる。
ひ〜〜〜〜〜(泣)
from 「SUN/星野源」
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