猟奇的なキスを私にして (ページ25)

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tenth drama ページ25

ズルズルした恋を抱え、終わることもなにもできなかったからか、それは俺のプレースタイルへも影響していった

調子が上がらなくていつもどこか上の空
体もうまく動かなくて、監督に怒られっぱなしだ
チームメイトからも見放されてるような気がする

その状態でイライラしてたら、ついに練習中に肉離れを起こしてしまった
当然の報いだ。
そうとしか思えない

クラブハウスでゆっくりマッサージ受けてから、一人でのんきにぼーっとしてたら、廊下からパタパタと慌ただしい足音がした

まさかとは思ったけど、まさかだった。
扉が勢いよく開いた

篤人「…なんでいんの？」

A「怪我したの、見てたから！！」

固定された足を見て、眉毛をハの字にする
俺の好きな顔。いや、好きだった顔
なんかむかつく
まだそうやって俺に気を見せるわけ？

篤人「今日取材ないよね？」

A「ないよ。普通にファンの人として外から見てたの。でも怪我したの見たらいてもたってもいられなくて…」

顔パスでいれてもらっちゃったって苦笑いをした

A「痛いよね」

篤人「死ぬほど痛い」

A「そうだよね…私なったことないからわかんなくて」

篤人「だろうね」

A「どんな感じ…?」

篤人「……めっちゃ痛い。生き地獄。…もう立ってられない…」

そうだよ
もう立ってられねーよ
だから…見たくもなかったのにさ…

A「早く治れ～！」

謎の念力を俺の足にかけ始めた
子供か。

気のせいかな
いや。気のせいじゃない
酔ってもないのに今日はとても優しい

篤人「今日優しいな」

A「はっ？」

篤人「なんかあった？」

A「……」

Aは俺の足をそっと撫でる

A「篤人、ごめんね」

篤人「…」

ああ、この人は覚えているんだ
あの日のことを忘れてはいないんだ

A「ごめんなさい。篤人」

そうやって涙を溜めた、潤んだ瞳で俺を見ないで
謝らないでよ…

篤人「…覚えてんの？」

A「…飲んでも記憶はなくならないの」

篤人「…ははっすげーな」

A「…篤人」

篤人「ねえ、俺のことフってよ」

A「えっ？」

それならば終わらせよう
愛しい君のその声で
立ち直れないぐらい俺を痛めつけて。嫌いになれるようにしてくれ。