猟奇的なキスを私にして (ページ24)

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ninth drama ページ24

Aを家へと送る頃、触れることさえも嫌になった。触れればキスの感覚を思い出し、幸せに二人で過ごした思い出が蘇ってくる

車の助手席で無防備に寝るAは変わらずに可愛くて、それから苦しくて目も向けられない
隣にいるのに、Aがこんなのにも遠い…

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篤人「A、家着いたよ」

A「ん～ー…」

寝返りをうってそっぽむく

篤人「起きないと、持ち帰るよ」

A「…」

寝てるし…

目を閉じていても、その魅力は衰えない
俺を虜にする彼女は、目の前にいる
…もう触れられないなら……いまここで終わらせてしまおうか

手を髪の毛に通すと、前にキスした時と同じ香りが広がる
くすぐったくなったのか、Aが寝返りを再びうってこちらの方をAが向いた

頬に手を添えて、最後だと自分に言い聞かせながらゆっくりと近づく

でも………ダメだ
そんなのだめだよな
Aは、俺じゃない人を選んだ……

俺は身を引こうとすると、俺のパーカーの袖がクッと少し引っ張られた

気づけばAが俺の裾を握って、寝起きの目で俺を見上げている
胸が高鳴って、耳が熱くなって
俺の下心を全部見透かされてしまってる気がする

A「あつと…」

篤人「ん？」

A「今度、いつ会える…?」

この後に及んで…
よくそう言えるよな

篤人「会わないよ。会えない」

A「…なんで？」

篤人「彼氏いるでしょ。俺…Aのこと好きだから…会ったらだめでしょ」

浮気なんてAはしないだろう
もう会ったらいけない
俺は止まれないから

A「ふふ知ってる」

Aは俺のパーカーをもっとぎゅっと握って、引き寄せて言った

A「あつと、私のこと大好きだもんね」

篤人「…知ってんなら、俺と付き合ってよ。なんでダメなの？」

A「私は～たくみがだーいすきなの」

篤人「たくみ…?」

誰だ？たくみ…

A「たくみは～私を好きだって言ってくれたの…一番大事なの…」

心が痛い
キシキシと痛んで、呼吸がうまくできない感覚に襲われた

篤人「…A、もう家ん中入れ。鍵俺が開けとくから」

もう無理だ
俺はAの鞄から鍵を取り出して開けて、半分寝てるAを無理矢理部屋へと入れた
Aは玄関にペタンと座り込んで、目をこすりながら俺に手を振る

A「あつとーまたねぇ」

篤人「…ばーか」

Aなんてしらねぇ
もう話したくもない
どっか遠くへ行けよ
見たくもない

…って、思えることができたらいいのに