猟奇的なキスを私にして (ページ16)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:38,631 hit

first drama 内田篤人ページ16

目の前には俺愛しい人
滅多に来ないけど、やっとのことで仕事としてドイツにやって来てくれた
いわゆる壁ドンってことをやってみたんだけど、この人は少しも動じない
俺が恥ずかしいだけじゃん

篤人「ねーA。今日は飯いこーよ」

A「行かない」

篤人「この前もそうじゃん。そんな忙しいの？」

A「忙しいの」

篤人「…相変わらずクールだな」

A「他の女の子探して」

篤人「Aがいいの」

なんでわかんないのかな

A「じゃあもう行くね」

Aは俺の腕を振り払って、クラブの奥の方へと歩いて行った
そのままじゃどうしても納得いかないし、とりあえずAの後をついて行くけど、振り向きもしない

Aは、俺がよく担当してもらう通訳者さんだ。最初はヨーロッパ圏で、いろいろなチームの選手と日本の企業の間にたって通訳してたけど、今では雑誌の仕事が多いらしい
日本にも行くし、しばらく日本から帰って来ないこともある

そんな彼女に始めてあったとき、綺麗な彼女に本当にびびった
優しく微笑んで、俺の名前を呼ぶ姿に、心がつかまれたようだった
物腰の柔らかい感じや、気の利く行動に、気づけば魅力を感じていた

そうして何度もあって行くうちに、プライベートでは強気の彼女に惚れてしまっていた

恋愛なんてめんどくさいってわかってるのに、そんな俺が初恋をしてるかのように夢中になっている

絶対に告白なんてできない俺が、初めて告白
したのはこの彼女一人だ
初めて会ってから2ヶ月後、我慢できなくなって、ある試合の後に告白した。
俺の勇気をすべて振り絞って、
試合のときよりも強い緊張に耐えながら、グラウンドの隅っこで待つ彼女に告白した

篤人「…Aさん。あのさ、好き…なんだけど」

A「…?」

篤人「Aさん？」

A「なんて？」

篤人「えっ、好き、なんだけど？」

A「だから？」

篤人「彼女になってほしいっておもって…ます」

A「でも私は彼女になりたいとおもったことも、なりたいとおもったこともありません。失礼します」

そう言って俺の大好きな笑顔をニコッとして、去って行った

これが初めて俺がこてんぱんに振られたときのことだ

寒くて、涙が凍りそうななぐらい寒くて。
グラウンドにボーッと立っていたのを今でも覚えている