保健室登校２【BL】 (ページ37)

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８０.方翼の羽をむしろうページ37

赤羽鈴side

病院の近くにあるホテルを借りて、
薄暗い部屋の中パソコンをたちあげる

機動音が響く部屋
頭に浮かぶのは、
Aの今

心配で堪らないが、
今は残り少ない命を救うためにも手術の資金を調達しないといけない

「ん…どうしようか………」

資金調達について調べていると、
出てきたのは
クラウドファンティングについて

どういうものなのか、
ウィキをクリックしてみると不特定多数の人から、
事業、企業をたちあげるための資金を募る…というものらしい

「これなら…もしかすると………」

タイムリミットは、
あと1週間ちょっとしかない

1億円超なんてすぐ集まらないということは、
分かっている

でも、集めるには多分これしか方法がない

ならば、
一筋の希望の光を信じて
俺は突き進むしかない

A、待ってて

すぐに、治してあげるから

＊＊＊

募集する金額を設定する

一応、2500万円

あとは、
自分の事業の名前をっと………

というか、これは事業なのだろうか？

まぁ、応援してくれる人がいるなら事業なのだろうけど

色々と書き込んで、
送信したら
俺はパソコンをとじAの見舞いにいく事にした

いい香りのする花束を、
病院に向かう途中で買った

あぁ、この太陽のような花をAにも見てほしいな
と思いながら、
Aが眠るベッドの隣のドレッサーに置く

日本を出る前に買った、
少年らが踊る小さな金属製のオルゴールを見つめる

手をのばし、
ネジを回すと聴こえるのは一時間、ずっとなり響く優しい優しいオルゴールの音

たんたらたんたっ_たんたらたった＿と幸せそうにステップを踏むかわいい少年を見つめると癒される

ピコン

小さな機械の何かを受信した音

パソコンを開くと、
ピコンピコンピコン＿と受信音が次々になり響く

画面に目をやると、
自分たちの大切なお金を俺達のために下さる方々のコメントと金額で溢れていた

この1時間とすこしの間で、
募金してくれた人たちの数は1892人

合計金額2432万円

あと、もう少しだ＿＿と現を抜かして、画面に食い入っていると
1893人目の来訪者がやってきた

募ってくださったお金は、
68万円

ぱっと画面が明るくなる

目標金額に達した

それも、一時間とすこしで...

募ってくれた皆さまのコメントに目をやると、
心配や応援のメッセージばかり

心があたたかくなる

その中に、
知っているアイコンがひぃふぅみぃ…

あぁ、本当にありがとうございます