保健室登校２【BL】 (ページ36)

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７９．方翼の羽をむしろうページ36

-後日-

赤羽鈴side

Aを、
病院に搬送してから初めてお医者さんに会う日がやってきた

お医者さんはなんと日本人らしい

それに、
日本語も話せると聞いて俺は安心した

看護師さんに呼ばれ、
席をたつ

周りを見回すと、
悲しそうな顔をした人が溢れかえっていた

白い、清潔感のある廊下を歩いていると、悲しそうな顔をした人が頭のなかに浮かぶ

もしかしたら、
余命宣告でもされたのだろうか？

不安の波が俺を襲う

やっと辿り着いた病室の扉をあけたら、悲しみと絶望が襲ってきそうで怖い

そんなどう足掻いても、俺を溺れさせようとする不安を多々、
抱えながら俺は重い扉を開けた

＊＊＊

「………重症心不全？」

『はい。
それも、急性心不全です。

たぶん、ストレスとかが影響しているのでしょう。
少し、鬱っぽいですね。』

そう、言うのはAの担当医師になった薦岡先生
年齢は、26歳
大学を、首席で卒業した何でもできる女医さんだ

…急性心不全とはなんだろうか？
Aは、なおるのだろうか？

そんなことが頭によぎるなか先生は、急性心不全のことを手短に説明してくれた

『まず、急性心不全になる人の平均62歳。
Aさんのような若い人がかかる場合は、大変珍しいです。

五年で約５０%の方が死亡が研究結果があります。

ステージは、
4段階あって…

って、顔色が悪いですよ？』

「…大丈夫です。
続けてください。」

驚きで頭があまりうまくまわらない

………ってか、
こんな事で何不安になってるんだ、俺……

『………？

…続けますからね。

ステージは、四段階あるといいましたが、一番かるいのがＡ、二番目にかるいのがＢ、あまり治ると言い切れないのはＣ、…死を宣告されたのと同じようなのがＤです。』

「(どの段階なんですか？」

『残念ながら、
一番重いＤです。

ちなみにこの段階になると、
もう重症心不全ですね。』

「...嘘だろ....。

いや、でも治らないということではないんですよね？」

『そのとおりです。

薬を使った療法はもう、
効かないと思うので…
移植が主な治療法です。

人工の場合、
植え込み型人工心臓。
ドナーからの心臓の場合もあります。
ですが、問題が……』

「それは、なんですか？」

『…治療費が、
どちらにしろ
1億超ぐらいかかるということです』

「………1億円超？

何もしないなら、Aの余命は二週間なんですよね？なら、今週中に払います。」

俺は、ずっとAと歩む未来を思い描きながら微笑んだ