71. ページ22
.
「…強いね、原田先生」
明智「……」
すると東条が隣に腰を下ろした。
東条「俺、明智にまだ謝ってなかったよな」
明智「なにが」
東条「サッカーのこと。なにも知らないのに色々言っちゃって」
明智「べつに」
東条「ごめん」
明智「…俺も、ごめん。変なこと巻き込んだりして」
明智が素直に謝って、私は驚く。
目に少しずつ光が戻ってきているように感じた。
よかった。
東条「むしろ隠してなくてよかったのになと思ったよ。1人暮らしのこととかいろんなこと。言いたくなかったのかもしれないけど。頼ってくれてもよかったのにって思った」
若林が明智の目を触る。
明智「いて!」
若林「めっちゃ腫れてんじゃん」
明智「…触んなよ……」
若林「今までの仕返しかな」
明智「…そっか」
若林「うん。今のでチャラにする」
「…よかったね、秀一」
東条「…え、秀一?」
思わず出た下の名前。
辛くて苦しいとき、思わず下の名前で呼んでしまう私の癖。
いま2人じゃないのに、ここで、出ちゃった。
それで気づく。
私、よかったって思いながら、どこかで辛くて寂しいんだ…。
嬉しい反面、なんだか私は一人置いてけぼりを食らった気がしてるんだ。
それが伝わったかのように、「秀一」と呼んだ私を見て顔が歪んでいる明智。
これじゃ、いつまでも、明智…秀一を、縛り付けてしまう。
「…ごめん、ちょっと今日用事あるの思い出した。またね」
いま離れたら、秀一はもしかしたら、前を見て生きていけるかもしれない。
私が彼の重りになってはいけない。
だから私は、1人、この場を去った。
2152人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
# 永瀬 結海 - いつも、更新楽しみにしてます! 頑張ってくださあい !! (2019年7月4日 19時) (レス) id: bce38eef0d (このIDを非表示/違反報告)
barumi(プロフ) - 愛美さん» ありがとうございます…!!( ; ; )不定期な更新で申し訳ありません…! (2019年7月1日 23時) (レス) id: a3ada5e282 (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - 続きが気になります! (2019年6月23日 13時) (レス) id: 337efc6262 (このIDを非表示/違反報告)
いっちー - 続き見たい! (2019年6月16日 7時) (レス) id: 2169c2a8bd (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - この作品面白いですね!夢主ちゃんも救われますように! (2019年6月14日 9時) (レス) id: 337efc6262 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:barumi | 作成日時:2019年6月2日 18時