ぼくらのきずな【気象系】 (ページ9)

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過去と現在の狭間７ページ9

雅紀side

机の引き出しから
取り出した “あるもの”

それは、俺と潤の家族が
写った最後の家族写真

優しく笑う母さんと
スーツを着こなす父さん
心からの笑顔で笑う俺と潤

いつからだろう

俺たちが心から
笑わなくなったのは

今の生活も
嫌いなわけじゃない

だけど、どこか遠慮
していて、うまく笑えない

無意識のうちに笑顔を向けて
いるかもしれないが、
笑えていないと思う

雅「っ、どうしてだよっ、父さんっ…」

写真の頃の父さんは、
優しくて一緒にいて楽しかった

だけどいつしか、
父さんは変わっていった

気づけば母さんはいなくなり、
父さんと俺と潤の３人になっていた

潤の恐怖の対象となり、
俺にとって恨むべき相手になった

雅「…こんな優しい顔されたら、恨めないじゃんかっ…！」

写真に写る父さんは、
とても優しい笑顔を向けている

あの頃の父さんが蘇ってきて、
恨む気持ちが揺らいでしまう

気づいたら涙が溢れ落ちていた

潤「…んっ、…おかっ、さんっ…！」

懐かしむ自分を現実に引き戻したのは、
潤の涙声を聞いたときだった

雅「…あ、潤？どうした？」

潤「っ、…ふぇっ、にぃ…っ！」

その声に涙を拭いて振り返ると、
すぐに潤が抱きついてきた