最後の約束10 ページ45
雅紀side
しばらく背中を撫で続けて、重くなった腕の中
もちろん腕の中にはスースーと眠る潤が
雅「あーあ、また逃げちゃった…」
おそらく、眠るように意識を飛ばした
…よくあること
でも伝わったと思う
俺が伝えたいこと
雅「慎…、早く潤にも戻してあげるからね…」
一時期、慎の存在そのものを
自分の中から消してしまったこともあった
今は大丈夫だけど…
慎と過ごした思い出は
まだ全てが潤の記憶には戻ってない
また消してしまわないうちに
潤の中に戻してやらないと
…慎が可哀想だよ
雅「いつまでも逃げてちゃダメだよ…」
俺だって落ち込まなかった訳じゃない
だけどアイツとの“約束”を思い出したから
いつもからかってしか来なかった慎が
俺に対して初めて真面目な顔をした
２人だけの最初で最後の約束
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慎『潤を一人にしないでやって…？何があっても、絶対に味方でいるって約束して…？』
雅『わかってる！ずーっといっしょ！』
慎『じゅん…、さいごに…あいたかった…っ』
ピーーーーッ
雅『しん…？しん！！』
『っ、そんな…っ！慎！しっかり！』
『母さん、慎はもう…』
雅『やだ…っ、しん…っ！！！』
『7月26日、午前10時39分…ご臨終です』
大事な弟である潤に会うこともなく、
笑顔で涙を流して眠りについた慎
すぐ近くにいるのに…
潤は、双子の兄である慎の
最期を見ることができなかった…
正確には、見れなかったんだ…
・
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不運に不運が重なり、
家族の理解者を失い、
同時に家族の信頼を失った
雅「あれが最大の不運だよ…」
人生最大の不運だと断言できるよ
失うものが多すぎた…
でも絶対、慎との約束守るから…
何があっても絶対、味方だから…
だからもう、逃げる必要はない…
でもこの時は知らなかった
アイツが来るなんて…
俺、ちゃんと守れるかなぁ…
大きな壁にぶつかるのは、
あと一か月先の話…
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『頼んだよ、雅紀…』
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作者名：雅宗 潤美 | 作成日時：2017年10月4日 19時
