銀の弾丸７ ページ19
翔side
“一瞬” で人を殺めて
“一瞬” で智くんが負傷して
全てが一瞬のうちに起こりすぎて
何がなんだかわからなくなった
翔「智くん！」
和「智！！」
お互いに理解できていない状態で
倒れた智くんに駆け寄る
雅「っ、潤ちゃん！！」
「…っ…」
ふらふらと立ち上がった雅紀
“潤ちゃん” に向けて
珍しく大きな声を出した
雅「ねぇ、潤ちゃん！話しを聞いて！」
翔「雅紀…」
呼びかけられている “潤ちゃん” は、
きちんと聞いているのかもわからない
それでも雅紀は声をかけ続ける
「……っ」
雅「…潤ちゃん…」
翔「雅紀！待てって！」
動きを止めた “潤ちゃん” に
駆け寄っていく雅紀
俺の制止の声も聞かず、
ひたすらに駆け寄る
「…っるな…、…くるな…っ」
雅「大丈夫だよ、潤ちゃん…」
「…め、…だめっ、…まーくん…っ」
“潤ちゃん” の瞳が揺れて、
近づく雅紀から少しずつ離れていく
「だめ」「こないで」と
繰り返す “潤ちゃん”
だが、あっという間に
雅紀の腕の中におさまった
「っ…」
雅「っ、やっと…会えた…っ」
「っ…ま、くんっ…」
感動の再会、というべきか
雅紀が零した涙を見た彼は、
目を潤ませポロッと涙を零した
濁っていたはずの瞳は
ほんの少し、濁りを無くしていた
＿＿＿＿だが…
「…っ！…うぅ…っ」
雅「潤ちゃん…？」
目を見開き、顔を歪ませた
驚いた雅紀は
思わず腕から離してしまった
「…ううっ、ぅあっ…」
雅「どう、したの…？潤ちゃん…！」
しばらく唸り続け
次に目を開いたときには＿＿＿＿
「……」
雅「っ、じゅん…ちゃん…っ？」
再び濁りを戻した瞳
その瞳には先程と違い、
悲しみも混ざっているように見えた…
「…っ」
雅「あ、潤ちゃん！！」
何かに耐えるように顔を歪め
屋根に飛び上がり
再び闇夜に消えていった＿＿＿＿
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作者名：雅宗 潤美 | 作成日時：2017年10月4日 19時
