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クラスメイトが叫んでいる中、ハジメがその空気を破る。
「おいっ、何か音が聴こえんぞ!」
ハジメが耳に手を当て、その音を確認する。その音は、何か歩いている音だ。
「カリナが生きてるのかもしれない!」
「ンな訳ねぇだろ! きっとあの殺人鬼だ!」
「違うよ! きっと他のクラスの人だよ!」
皆がわちゃわちゃと騒ぎ出し、期待して何かの物音を待つ。――モモは、その音を待ってはいけないような気がした。
「ねぇ、もう行こうよ……鬼かもしれないし……」
「けど、カリナかも知んねぇだろ!?」
そんな事を喋っているうちに、物音はどんどんと大きくなる。その音と共に、モモの心臓の音もどんどん大きくなった。
「おい……何だよ、アレ……」
シュンが指す方向には、形が崩れたトロフィーと、丸底フラスコを持った殺人鬼が居た。
「だから言ったじゃん! 早く逃げようよ!」
モモが先陣を切って逃げようとする――だが、出れないのだ。何か不可思議なものに遮断されて、この場所から出られない……。
「嫌だ……コウダイ……俺……」
タツキが小さい体を丸め、震わせる。それをコウダイは優しく抱きしめた。
そんな事をしている合間に、どんどんと殺人鬼は近づいてくる。クラスの皆は悲鳴を上げ、少しでも離れようと隅の方へ向かって行く。
シュンは、それを1人で呆けて見ていた。
「おいッ、シュン! 早くこっちに来い!」
ダイキがシュンに向かって叫ぶが、何も応答がない。放心してしまっているようだ。
……無理もない。シュンは元からメンタルが強い方とは言えなかった。それを無理に立たせて、今迄引っ張ってきたのだ。きっと極限状態から糸がぷつりと切れてしまったのだろう。
そのシュンを狙い、殺人鬼がゆっくりと近付いてくる。それに、気付いたのか、シュンは素早く後ずさった。
「大丈夫だ……皆に被害は及ばない……出れる所を探せ」
「ああ、……死ぬなよ」
シュンは出来るだけ、殺人鬼と目を合わせている。いきなりタカミの目を旗の先端で刺す奴だ。普通だったら、恐ろしくて見て居られないだろう。
だが、シュンにはそれが出来ている。きっと怖いのに皆のために我慢しているのだろう。正に学級委員の鏡だ。
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霜月白雨@我々ハマったw(プロフ) - 谷崎小夜さん» コメント(´▽`)アリガト! あぁ、直さんとな……このままチャット続くんだったらしらたま掲示板いかへん? (2017年10月19日 19時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
谷崎小夜 - よくよく見ると、ダイキ→タイキになってるぞ。 更新ありがと!今回も良かったっす(´・ω・`) (2017年10月19日 19時) (レス) id: 0c4ef10cf1 (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨@我々ハマったw(プロフ) - 谷崎小夜さん» 君はあの……! 有り難う!! きみきゃわうぃーね☆ (2017年10月18日 7時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
谷崎小夜 - すごくいい!臨場感が伝わってきたよ。面白い! (2017年10月17日 23時) (レス) id: 0c4ef10cf1 (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨@地味に傷ついたw(プロフ) - 桃色レイカンさん» コメントありがとうございます! そう言って貰えると嬉しいです!! CSSですね! はい! 更新頑張ります!! コメントありがとうございました!! (2017年10月7日 14時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月白雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年10月6日 19時