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清川さんとお別れするいつもの公園に着いた。私は自分の手元にある紙袋の持ち手をぎゅっと握り締めた。
いつもお世話になっているから渡すだけ、他意は無い。それでも緊張して躊躇ってしまうのは何故だろう。
「佐藤さん？」
「……あ、はい」
呆けていたらしい私の顔を覗き込むように呼びかける清川さんに、私は慌てて顔を上げる。清川さんは「次、シフト明後日だよね？」と尋ねた。
「はい」
「オッケー」
「……大丈夫ですか？」
「うん、明後日は大丈夫。無理な時は早めに無理って言うし、気にしなくていいよ」
「ありがとうございます」
「いーえ」
清川さんは「じゃ、おやすみなさい」と軽く手を上げる。街灯の灯りに照らされて出来た影を見つめながら、私は変に高鳴る心臓を必死で抑え込んだ。
そして、踵を返しかけた清川さんのモッズコートの裾を思わず掴んで引き止めた。吃驚したように振り返った清川さんに、私も我に返って手を離す。完全に無意識だった。
「どうしたの？」
「あ、の」
「ん？」
「……これ」
上ずる声を抑えつつ、震える手で紙袋をおずおずと差し出した。清川さんは暫く紙袋と私を見比べるように見つめてフリーズすると、「え、なに？これ」と聞き返した。
そりゃそうだ。いきなり呼び止めて「あの、これ」だなんて、言葉が足りないにも程がある。
「……」
「チョコ……です」
「……」
「……」
二人の間に走る沈黙。
さっきまでいつもより5度近く高く感じていた血液が、今度は一気に冷たくなったような感覚。
そりゃそうだ。親切心で送りをしてやってるそれ程素性を知らない大学生の女から、チョコレートを貰うなんて、普通に気味が悪い。清川さんは有名人だから、そう思うに違いなかった。
「い、いつもその、お世話になってるから、義理チョコっていうか……。いや、やっぱりキモいんで受け取らないでいいです、自分で食べます、いつも送ってくれてありがとうの気持ちだけ受け取って貰えたら」
「え、いや、あの」
「距離感間違えました、すみません！」
「……」
捲し立てるように言い訳をする私をキョトンと見つめていたと思えば、数秒後には顔を両手で覆ってぷるぷる震えている清川さん。
「え」とフリーズすると、彼の手の隙間から動画でいつも聞いている堪えるような笑い声が聞こえてきた。
「ちょーだいよ」
「……へ」
「自分で食わないでよ」
清川さんは目尻に滲んだ涙を自分で拭いつつ、私の手から紙袋をひょいっと受け取って「ありがとう」と笑った。
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parumu(プロフ) - かえる。さん» はじめまして！ありがとうございます(；＿；)♡これからも宜しくお願いします〜！！ (2022年8月28日 21時) (
レス) @page38 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませてもらっています！応援してます！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - いぬU・x・Uさん» はじめまして！そんなふうに言っていただけて嬉しいです(；；)まだ何も起きていない平和なお話なのですが、楽しく読んでいただけると嬉しいです！ぼちぼち頑張ります〜！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
いぬU・x・U(プロフ) - 初コメ失礼します…！とっても素敵なお話をありがとうございます！！これからも主さんのペースで更新応援しております〜！！ (2022年8月27日 13時) (レス) @page37 id: b1951e364b (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - リーフィア推しの【タクト】さん» そうなのです、読んでいただきありがとうございます🥰 (2022年5月24日 20時) (レス) @page29 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年4月23日 16時
