第1話:東條 諒人 ページ2
窓から差し込む陽だまりに当たりながら、一人ソファに座って新聞を眺める。
特に面白いことは書かれていないが、日課になりつつあるその行動は、今となってやめようとは思えなかった。
ふと、一つの記事に目が止まり、内容を見て顔を顰める。
「…ふーん、特殊警察、またもやお手柄、ねぇ」
また捕まってしまった魔術師がいるのか、と思うだけで胸が痛む。
俺が早く見つけていたら、救えるはずだったのに。
そんなもやもやした気持ちを抱えながら、新聞を乱雑に閉じる。
「…諒人、そろそろ時間じゃないの?」
「へ?」
いつから居たのか、幼馴染である仁堂要にそう声をかけられて、壁にかかっている時計を見る。
時計の針は約束の時間の三十分前を指していた。
「そう言えばそうだな。…じゃあ行ってくるか」
「…気を付けて」
「おう、留守は任せたからな」
そう言ってパタン、と応接室のドアを閉める。
ふぅ、と一息をついて、玄関に向かって歩き出す。
「諒人」
凛とした声が後ろから聞こえて振り返る。
そこには何故か少し不機嫌そうな、人間姿の相棒、クリスティーナが立っていた。
「…ティナか、どうした?」
「どうしたもこうしたもあるまい。お前は狙われている身なのだぞ。もう少しその自覚を持って行動しろ、馬鹿者めが」
彼女は呆れたようにため息をつき、嫌っているはずの蜘蛛の姿になると俺の肩に乗る。
「…珍しいな、自分からついて来ようとするなんて」
「妾が傍に居ないと魔法が使えんだろう。それに、その新入りとやらも信用ならんからな」
おそらく彼女は、あちら側のスパイである可能性を考えているのだろう。
口ではこういっていても、心配してくれているのを知っている自身にとって、その言葉は嬉しいものだった。
思わず頬が緩んでしまったが、ティナは気付かなかったようで心の中で安堵のため息を吐く。
「ティナは心配性だなぁ…俺が見込んだから間違いはねーよ」
「…お前は警戒心がなさすぎるのだ。だからそこに付け込まれる」
「失礼だな…。最低限の警戒心は持ってますー」
そんな会話をしながら玄関を開けて、目的地の噴水広場に向かおうと歩きだした。
2人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日向信乃(プロフ) - 大変遅くなりました。申し訳ございません (2016年6月29日 0時) (レス) id: 149e2c85db (このIDを非表示/違反報告)
日向信乃(プロフ) - 更新します (2016年6月28日 22時) (レス) id: 149e2c85db (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ(プロフ) - できました (2016年6月25日 12時) (レス) id: 43b426933d (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ(プロフ) - 書きますね。 (2016年6月25日 11時) (レス) id: 43b426933d (このIDを非表示/違反報告)
黒氷(プロフ) - 終わりました、SOS出したのでプランの方誰か繋いでくだされば… (2016年6月10日 22時) (レス) id: b7b1a79610 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ