空と海のあいだに【hirano.s】

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A「私、夫はいないですよ。」

と告げると、岸さんはパッと顔を上げて

「ええ？」
と言った。


取引先の方だけど、岸さんならいいかな、と思って、彼と海人の話をした。








話終えた時、岸さんがシーンとしていたので、

まずい！こんな話ダメだったかな？と焦ったけど、


よく見たら、岸さんは





泣いていた。





A「え…岸さん…？」

岸「ごめん、俺、知らなくてさ…！Aちゃんもお子さんもよく頑張ってんだよ。」
また泣く。




きっといい人なんだな、と思い、

A「私もう大丈夫ですから。今の会社に入れてもらって、毎日すごく楽しいです。」
と伝えると

岸「本当、いい子だよね…」
と、目をじっと見つめられた。




何だか恥ずかしくなって下を向くと、岸さんが

「今度、お子さんに会わせてよ！俺、子ども好きなんすよ。」

と言ったので、嬉しくなって

「はい!ぜひ！」
と返した。






そんな私に、優しい視線をくれた岸さん。

何だか久しぶりにドキドキした。









その後、岸さんとは、社内で会うたびに親しくなって

親しげに声を掛けられるたびに、自意識過剰になってしまった。









今日も、海人をお迎えに行く。


いつもの園庭。



いつものように海人を見付け、声を掛ける。









いつもと違ったのは









そこに、あなたがいたこと。

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