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you side



平「…美歌っていうんだよ、あいつ。」

長い沈黙のあと、平野くんがポツリと口にした。






クールダウンしようと訪れた公園。


平野くんはブランコに、私はベンチに座っていた。





しばらく平野くんは下を向いたままで、何も言わなかった。





私も何も聞かず、黙っていた。





ぽつぽつと平野くんが話すのを、
何も言わずに聞いた。






美歌さんは平野くんの幼なじみで、私達よりも3つ
年上らしい。



小さな頃から仲良しで、いつも一緒だった。



美歌さんはその名のとおり、歌が抜群に上手で、
ダンスが得意な平野くんは、美歌さんの歌に合わせて踊ったりするうちに
いつの間にか好きになっていたそうだ。




平「Aちゃん、俺ってチャラく見えるでしょ?」



私は正直に頷いた。



平野くんは苦笑いをして、話を続けた。



平「でもね、美歌が初恋だったんだよ。
まだ、何にも知らない、何もできない子どもだったんだけど。」

「俺ね、すっげー一生懸命だったの。
絶対美歌を守ってやる、幸せにしてやるって。」


平野くんが悲しげに笑う。



「だけど俺のその一生懸命さが、段々空回りし始めて。」


「大好きな美歌の事、縛り付けたり、サイテーな事に、『信じて』って言った美歌の言葉を」


「聞いてあげずに、信じる事ができなかった…」


「後悔しても遅かった。俺が何言っても美歌は聞いてくれず、俺が高校3年になる時の春、結婚を前提に付き合い出した人がいるって聞いて…」


「俺、どうしたらいい?」



両手で顔を覆って、平野くんは下を向く。



A「平野くん」

「素直な気持ちを伝え続けるしかないのかもしれない。
…遅いのかもしれないけど、でも平野くん諦めたくないんでしょう?」


平野くんが顔を上げた。涙に濡れている。


A「ねえ、私じゃ力になれないかもしれないけど、話を聞くよ!話すだけでも楽になるだろうし、私だけじゃなくて、きっと廉も岸くんもみんな、同じ事言うと思う。」




そう伝えると、平野くんに抱きしめられてしまった。

平「…ありがとう…」




この人は今、寂しいんだ。
誰かに寄りかかる事で、寂しさを減らしたいんだ。








そう思った瞬間、



「…何しとる?!お前ら。」




鋭い関西弁が矢のように飛んで来て

私に突き刺さった。






声の先では、永瀬が

顔を歪ませて、冷たい目で私達を

見下ろしていた。

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きっちょむ(プロフ) - Kokoさん、ありがとうございます!楽しみにしていただけて、嬉しいです。おまけ、違う人目線のお話にしようと思いましたが、二人の話も入れようかな…。お楽しみに! (2019年10月22日 23時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
Koko(プロフ) - まだまだ2人の続きが読みたい!!いつも更新楽しみにしてました☆ (2019年10月22日 23時) (レス) id: 6359401af5 (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - さちままさん、ありがとうございます!いつもコメント、励みでした。社会人編…いつか書けるかな。前向きに検討します! (2019年10月22日 22時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
さちまま(プロフ) - 二人仲直りできて良かったです。又いつか社会人編とか読んでみたいです。二人のラブラブならなんでもいいかなぁと思うくらいこのお話が好き。おまけ楽しみしてます。 (2019年10月22日 22時) (レス) id: 8b1ec69824 (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - りんりんさん、ありがとうございました!ここまできたら、ぜひ結婚してほしいですね!書いてて親みたいな気持ちになりました(笑)おまけも頑張りまぁーす! (2019年10月22日 22時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きっちょむ | 作成日時:2019年10月14日 9時

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