22 ページ22
you side
A「…なんで…。」
平「何でも何も。俺も置いてかれちゃったんだよ(笑)」
A「でも、手…。」
平「俺、こう見えて怖がりなんだよ。今ね、めっちゃ怖い(笑)だからさ、Aちゃん、手を離さないでね。」
全く怖そうに見えない平野くんは、私の手を握り直すと、笑顔で歩き出した。
永瀬に見られたら、誤解されるかもしれない。
どうしたら良いか分からず、平野くんにされるがままになってしまっている。
しばらく黙って二人で歩いた。
平「ね、Aちゃん。」
平野くんの呼び掛けに警戒しながら返事をする。
A「な、何？」
平「自分の好きな人…例えば廉が、自分と付き合ってるのに他の人を好きになっちゃったとしたら、どうする？」
なんなんだろう、突然。
何でそんな事を聞くのか、平野くんの真意が分からず答えようがない。
とりあえず、一般論として考えられる事を答えておけばいいのかな。
A「前の私だったら…。たぶん諦める。」
平「はぁっ？何で？」
A「だって、気持ちが私になくなっちゃったんでしょ？それなら潔く身を引いた方がみんながいいじゃん。」
平「…それって綺麗ごとじゃない？」
自嘲したような、バカにしたように平野くんが
言う。
A「だから前の私だったらって言ったじゃん。今の私は諦めるの無理かなぁ。」
大好きな永瀬の顔を思い浮かべながら続ける。
A「今の私は廉の事好き過ぎて、諦めようとしても多分無理。だから無理に忘れようとしないで、廉との思い出とか好きな所を一つひとつ思い出しながら、心の中にしまっていくようにする。」
平「…。」
A「そうして、それが全部完了した時
きっと自然に私は廉の事を思い出にできているように思う。それからこんな素敵な恋をした自分を思いっきり褒めるよ。」
A「なーんてね！かっこよく言っちゃったよ〜(笑)」
笑いながら平野くんを見るけど、平野くんは私の顔を見ながら動かない。
次の瞬間、私は平野くんの厚い胸板の中にしっかり抱きしめられてしまった。
平野くんやめて、と言おうとして気づいた。
…泣いてる…？
それに気付いた私は、いつの間にか平野くんの背中を、小さな子供にするように
ポンポンとしていた。
「Aっ！！」
永瀬の声だ！
誤解される！と思った瞬間、もう平野くんの体は離れていた。
離れる瞬間、小さな声で
「ありがとう」
と聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 534人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きっちょむ(プロフ) - Kokoさん、ありがとうございます！楽しみにしていただけて、嬉しいです。おまけ、違う人目線のお話にしようと思いましたが、二人の話も入れようかな…。お楽しみに！ (2019年10月22日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
Koko(プロフ) - まだまだ2人の続きが読みたい！！いつも更新楽しみにしてました☆ (2019年10月22日 23時) (レス) id: 6359401af5 (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - さちままさん、ありがとうございます！いつもコメント、励みでした。社会人編…いつか書けるかな。前向きに検討します！ (2019年10月22日 22時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
さちまま(プロフ) - 二人仲直りできて良かったです。又いつか社会人編とか読んでみたいです。二人のラブラブならなんでもいいかなぁと思うくらいこのお話が好き。おまけ楽しみしてます。 (2019年10月22日 22時) (レス) id: 8b1ec69824 (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - りんりんさん、ありがとうございました！ここまできたら、ぜひ結婚してほしいですね！書いてて親みたいな気持ちになりました(笑)おまけも頑張りまぁーす！ (2019年10月22日 22時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きっちょむ | 作成日時：2019年10月14日 9時
