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4話 駅前の吸血鬼の噂 ページ10

「と言うかA、待ち合わせ場所は駅前の喫茶店なのか? 気を付けろよー、最近あの辺り…吸血鬼が出る…って噂があるんだ」

ピクリっ… と、私は違う容器に入っていたデザートのゼリーを食べていた手を止める。

「はぁ? 吸血鬼?」

女友達は何言ってんの? と呆れた表情を綿貫くんに向け、私は何時も道理…何も動かない無表情で綿貫くんを見詰める。

「いや、ホントに! 通り魔みたいなんだけどソノ被害者は噛まれた跡があって…全身の血が抜かれてたんだって!! 被害者は数十人とか…」

まるで怖い話を言い聞かせているように話す綿貫くん。さっきまで信じてもいなかった女友達は「嘘っ、マジなの…」と、恐怖で顔を引きつらせた。私はと言うと…ずっと動じず、真面目に話を聞いていた。のに…

「…さて、今の話はどこまでが嘘でしょーかっ!」

先程の怖い話の雰囲気は何処に行ったんだろうか? 綿貫くんは けろっ とした笑顔で私たちにそう告げてきた。…嘘、なのか…。
女友達は「嘘かいっ!」と綿貫くんの頭に強烈なツッコミを入れた。あぁ、痛そうだ…。

「もー…さくやんっ! 信じそうになったじゃん! こんなか弱い女の子たちに怖い話を聞かせるなんて…。酷いよねっAちゃん?」

女友達が綿貫くんに呆れた様な目を向けながら、私に抱きつく。
…か弱い女の子があんな強烈なツッコミを入れるだろうか…?
そう思いもしたが、言ったら敵に回してしまう気がしたので「そうだね、綿貫くんは悪い人だ」と、ゼリーを食べるのを再開しながら便乗した。
今日のデザートは新作のさくらんぼゼリー。これまた旨い。

「酷っ! つかAは全然怖がってなかったじゃん!! と言うかお前食いすぎじゃね!?」

綿貫くんが完食した私の弁当の容器を指差す。
容器の大きさ、量から考えて普通の女子の2倍、男子と相応の量…いや、人によってはソレ以上かもしれない。

「私は美味しい物は幾らでも入る質なのだ。まぁ、でも…」

「「でも?」」

「今日、流石に食べ過ぎた。
お腹…めちゃんこ痛くなってきた。
ので、ちょっとお花畑に行ってくる」

席を立つ私に綿貫くんは

「だから言ったじゃん!! 何時の無表情でめちゃんこ痛いとか言われてもなっ!!」

叫ぶようにツッコミを入れてくる。
女友達は「Aちゃん、大丈夫?」と心配してくれたのか、優しく背中を撫でてくれた。
「ありがと、多分平気」とだけ伝え、トイレへと足を進めた。

4話 駅前の吸血鬼の噂part2→←3話 学校にてpart3



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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時

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