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29話 望んでいる ページ45

『ふふっ、良い匂い! 今日はシチューかい?
毎日毎日大変ですねぇー!』


…スノードロップ…。何の用だ。


『僕は君の力担当であって…スノードロップって名前じゃ無いよ! まぁ…どうでも良いけど。
…其より急にどうしたんだい? あの子にリードを渡すなんて? もっと先に連絡してくれないと!』


吸血鬼が過剰に動き出したからに決まってるだろ。何か有ったからじゃ遅い。


『…何か有ったら君が守ってあげたら良いじゃないか。どうせ“居場所が分かる”様にしてるんじゃないのかい?』


…。


『はぁ…黙りか。
まぁ、君がAにリードを渡したくない って気持ちも分かるんだ。だってスタンガンだもん。幼い子供が真相心理で望む物から生まれる物じゃ無い』


…。…過剰な保護欲が有ったんだろ。
まぁ、あんな状態じゃ無理もない。
最初に…“呪いの言葉”をAから聞いた時は正直 ゾッとした。


『でも、今は薄まってる。
君が“望み”を叶えてあげてるから』


…っ…。


『睨まないでよぉー!
…ほら、シチュー焦がしちゃうよ!
ご飯も作って、お帰りっ! って挨拶もしてあげないと。それをきっと“望んでいる”』


……そんな事…分かってるんだよ。


『ほらほら、怖い顔しないのっ!
嗚呼っ! …あの子が帰ってきたよ! あの子は怒られるのがトラウマなんだから…何時もみたいに優しい顔しなきゃ。其を…』


望んでいる、だろ。くどいんだよ。


『…分かってるじゃないか』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

濡れたスカートが気持ち悪いなぁ、と思いながら玄関のドアを開ける。
すると、四ツ葉がリビングから顔を出してきた。


「…お帰り、A」


「うん、ただいまー…四ツ葉ー」


四ツ葉は其のまま私に近付き、優しく微笑んだ後…私を抱き締めた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…

この時はまだ知らなかったのだ。
いや、知ろうともしなかった。
四ツ葉の秘密 と…四ツ葉の葛藤に。


人には秘密が存在する、なんて一般論を翳して。本当は向き合おうとしなくて…怖くて、向き合えないから逃げただけ。
なんて…後から気づいても後の祭りだ……。

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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時

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