アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ42)

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28話予期せぬ再会ページ42

いてて… と、尻餅の状態から起き上がるが、男性はまだビリビリしている様で距離を取られてから反撃が無い。と言うか…衝動的にやっちゃったけど…吸血鬼だったね。リードを初めて吸血鬼に当てたけど威力凄いんだね。

…いや待って…。この吸血鬼見たことあるぞ…。

『あら、あの吸血鬼が怖いの？大丈夫よ、あの子はこの部屋から出ないもの』

『触んないでAちゃん。…ごめんね…』

「…っ…」

…思い出した…。この男性は3番目。今の主人と名前は…。

「ははっ、ジェジェってばダサいなぁ！」

爽快な笑い声と共によっと…と、私の前に降り立った男性。金髪にカウボーイハットに大きめのリュクサック…そして何か分からない女の子の人形…。この人は…。

「御国、さん…？」
「やあ。久しぶりだね…Aちゃん。
相変わらずの無表情で」

…本物だ。何年振りだろうか…？
色々聞きたい事、言いたい事は有るんだけど…まず、その人形は何ですか？
…人形をジッーと見ていると「ちょっとAちゃん！」と御国さんに人形を隠され…引いた視線を浴びせられた。

「オレのアベルを性的な目で見るな！変態！人形だよ！？」
「いや、見てないです…マジで」

真顔で首を振りながら白けた視線を贈る。
…久々に会った人が人形愛者になってるなんて…誰が予想しただろうか…。

すると、ドン！と御国さんの帽子が撃たれた。
3番目は銃を構え、「リードを、持っている…とは、聞いていない…」と、御国さんに詰め寄る。

「えー？そこはさぁー、ジェジェが臨機応変に対応しないとー」
「あ、あの…咄嗟にぶつけちゃって…その、ごめん、なさい…」

ぎこちないが謝る。が、無視された。うぅ…昔から3番目は苦手だ…。
しかし、御国さんが「ジェジェ。行って」と声を掛けた。すると、3番目は蛇の姿になり何処かへ行ってしまった…。

「何処へ…？」
「定例会だよ。怠惰の主人が気になるし。飲み込まれそうな感じなら引き取ろうかなって」

…“飲み込まれる”ね…。

『御国兄さん…何でっ…？御園くんっ…起きてっ…。う、うぁああぁっ…四ツ葉ぁっ…リリイさんっ…来てぇ…！！』

“あの日”…私が久しぶりに大泣きした日…。
その日から私は泣いた記憶が無い。

俯く私に御国さんは「驚かせてゴメンねー」と傘を差してくれた。

…あぁ…！綿貫くんに貰った本…！ 3番目に驚いて落としてしまっていた。が…ビニール袋に入っていた為、濡れてはいない。…良かった…。