アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ35)

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23話再会ページ35

…城田くんは…あの日…椿と接触したみたいだ。
リリイさんが助けて事なきを得たが…あれから約一週間。今では1番目はクラスのマスコット的な存在になっている…。吸血鬼なのに…これが本当の猫被り…。
…そして今日…城田くんと1番目を有栖院の屋敷に連れて行く、と連絡が有った。
その為に“あの人”がこの学校にくるらしい…。

バタバタと文化祭の準備が始まる。
綿貫くんは「街は既に吸血鬼の巣窟！」と城田くんに言いながら準備をしている。
が…話しに夢中になり前の龍征くんにぶつかり…盛大に物を散らかした。
…もうこの人は噂なのか、何なのか分かんない…。

「Aちゃん、今スマホ鳴ったよ？」

物を運んでいた私に女友達が教えてくれた。確認をしてみると…確かにLINEが入っていた…。
バタバタしていて聞こえなかったが…“あの人”だ…。
私は「ありがと、ちょっと抜けるね」とその友達に断りを入れて教室を出た。

…私たちの居る教室に行くための階段下。…其所に…庶民の学校に似つかわしくないイスに座り、ぜーっ…ぜーっ…と苦しそうに息をしている他校の制服に紺色の髪…そして、その頭の天辺には見事なアホ毛が立っている少年が其所に居た。

「A…僕は『らいん』とやらで…迎えは良い、と連絡したぞ…なぜ来ているっ…」
「すいません。迷って疲れていると思ったので既読スルーしました」
「貴様っ…！」

…怒られる事が嫌いで怖いけど、アナタに怒られても怖くないんだよな。

「…まぁ…来たんだったら？案内役をやらしてやっても良いぞ…？でもっ…断じて迷ってないからなっ…！」
「はい。では案内しますね…御園坊っちゃん」

御園坊っちゃんと呼ばれ、気に食わなかったのか「止めろ」と不機嫌な顔をした。

「他人行儀な…その、何だ…。
…僕と貴様は…おっ…おさ、おさなっ…」

急に恥ずかしそうに言葉を詰まらせながら話し出す坊っちゃん。何て言いたいかは分かっている。でも、きっと“それはダメ”なのだ。

「坊っちゃん。幼い体型を気にしてるんですか？大丈夫、坊っちゃんはそのままで可愛いし、私より数㎝身長も高いじゃないですか」
「貴様、バカにしているのか！？」
「フォローです」

私のフォロー(と言う名の茶化し)に怒る坊っちゃんだか…本当に怖くないな…。

「行くぞ！案内しろ！」と坊っちゃんは階段を上がり出す。私は後ろに続いた。

…アナタと私は幼馴染。なんて…そんな恐れの多い事…私はもう言えないのだ。