20話 呪いの言葉 ページ32
…グラサンの人と別れた後、私はマンションへと戻った。幸い、連れて行かれたコンビニが住んでいるマンションの近くだった為、直ぐに帰れた。
…帰って直ぐに私はベランダへと足を進める。
そして窓を開け、ベランダに腰掛けた。
すると、スマホが鳴ったので確認すると相手はリリイさんだった。内容は「城田真昼くんは無事です。Aさん、報告ありがとうございます」とのメールだった。なので私は「リリイさんこそ、城田くんを助けてくれてありがとうございます」と送り返した。
…あ、そうだ。四ツ葉にも連絡しないと。
私は「先に帰ったよー」とLINEを送り、スマホをポケットにしまった。
…もう夕方だ。夏休み前だから少し暑い。でも、今日は風もあるので暑さも其処まで酷く感じない。
グラサンの人に貰ったダッツを食べる。
ダッツは少し溶けた方が美味しいのだ。
苺味のダッツを口に入れて居ると“あの日”の事をもっと鮮明に思い出してくる…
…“あの日”も夕方だった。“あの日”は猛暑だった。“あの日”は暑くて暑くて堪らなかった。
…慣れていたけど。暑いのも苦しいのも痛いのも。でも…1人だった。それだけが寂しかった。
私はベランダに体操座りで膝に顔を埋める。
…余り昔の事は思い出したくないな。
寂しい、辛い、怖い、嫌…そんな感情ばかりを思い出す。
“呪いの言葉”
そう呼んでいるあの言葉。
今でも私の脳裏に焼き付いて離れてくれない。
その言葉通り…“表情を殺す事”にしたんだっけ。そして、あの言葉は今でも私の事を縛っている。
私は未だに無表情のままだ。
ちゃんと感情はあるのになぁ…。
クラスの皆と笑いたい。
感動する映画で泣いてみたい。
…そうだ、四ツ葉にも笑った顔を見せてみたいな。
アイツはどんな反応をするのだろう…?
…何時か“呪いの言葉”に打ち勝ちたい。
打ち勝てる何かに出会いたい。
「そんな日が…来ると良いなぁ…っ」
顔を埋めて目を強く瞑る。
1人だけ…私だけ皆と共有が出来ない…。1人だけ…私だけ…取り残されて寂しくて怖い。
…あぁあ……もう、何も考えたくない。
寂しい。1人は寂しい。今は家に1人だ。だから寂しい。
…四ツ葉…早く帰って来ないかなぁ…っ…。
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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時