アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ23)

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12話愛についてpart3 ページ23

…私は愛が分からない。

四ツ葉の事は好きだ、大好きだ。
でも愛は分からないから…愛してはいない。
四ツ葉は、毎日の様に私にキスをする。
でも私からはキスはしないし、要求もしない。
四ツ葉は私に「愛してる」と言ってくれる。
でも私は四ツ葉に「愛してる」と言った事は無い。

…だって、愛が分からないのに“愛してる”なんて…“嘘の愛”は悲しく寂しい物じゃないか。

…でも、愛は与える物だと聞いたことがある。
私が四ツ葉に与えられるのは血だけだ。
だから四ツ葉に血が必要な時は幾らでも、好きなだけ与えると決めている。
コレが…愛が分からない私を愛してくれる四ツ葉への対価だ。
…だから…例え四ツ葉に貪り殺されても私は…決して彼を恨まないだろう。

数分後…四ツ葉は落ち着いたのか無言で私の肩から牙を離す。
そして無言で私を軽々と御姫様抱っこをした後、リビングへと足を進め出す。どうやら左腕は直った様だけど…御姫様抱っこの浮遊感ヤバイ。

「…はぁ…お前…吸わせないでもどうにかなる血を与えたがるって…何なの？Ｍなの？」

溜息まぎれで四ツ葉が私に呟く。
運びながら失礼な事を言うねアンタは。

「違うわっ」

ベっと舌を出して反抗すると、鼻で笑われた。うわぁ、腹立つぅ…。
リビングに入るドアの前に着くと「A…」と名を呼び…私の顔が四ツ葉に向いた瞬間、唇にキスをして来た。

「ありがと…ごめん…。 …ありがとう」
「うぅん。落ち着いたなら良いよ。
あ、でも…めっちゃっ血の味した。
レモンの味が良いなぁー」
「あぁ…悪い悪い」

にへっ… と、クシャクシャな顔で笑ってを見せる四ツ葉。
…血を飲んで精神が安定した時に見せる四ツ葉の希な笑顔。この顔をしている四ツ葉が１番好き。この笑顔を見る為なら私は…本当に幾らでも血を与えられる。

私をソファーに座らせた四ツ葉は私の肩…牙の跡が付いた箇所に薬を塗る。
その後に上から大きめの絆創膏を貼ってくれているけど…何時も思うに其処までじゃないんだよな。四ツ葉は加減してくれるし、牙の傷も浅いし。

「四ツ葉ー。毎回思うんだけどさー…
其処までしなくても良いよ？
どうせ直ぐ治るしさー…」
「駄目だ。傷が残ったらどうする」
「過保護ぉ…」
「言ってろ」

真剣に治療をしてくれる四ツ葉を律儀だなぁ… と、見詰めていた。

見詰めていると同時に…私は段々とリリイさんが別れ際に放った“ある言葉”を思い出していた…。

“四ツ葉の愛は無償の愛”と言う言葉を。