3話 学校にてpart2 ページ8
お昼休み。私は今日も四ツ葉が作ってくれた手作り弁当を食べている。
あぁ、今日も四ツ葉の作る卵焼きが旨い。
因みに私は四ツ葉が作る料理で2番目に卵焼きが好きだ。
四ツ葉に準備が終わる時間と喫茶店に着く頃の時間をLINEで伝える。
スマホを弄りながらご飯を食べていると「お行儀悪いぞー」と陽気な綿貫くんの声が聞こえたので顔をあげると、綿貫くんは私がプレゼントした丸焦げクッキー片手に苦笑いで近づいてきた。
「あのー…Aさん? 俺の机に置かれてたこの黒い物体は何かなぁ?」
「私が産み出してしまった丸焦げクッキー」
「嘘だ」
「残念、現実です。立候補した綿貫くん、たんとお食べ」
「じゃあソノ手作り弁当は何なの!?」
私が食べている弁当を指差し綿貫くんが問いただす。これは… と、答えようとすると横からいつも制服の下にパーカーを着た数少ない私の女友達が答えた。
「さくやん知らないの? Aちゃんって毎日彼氏に弁当作って貰ってるんだよー」
と…。…あぁ、止めてくれ。
綿貫くん、あんぐりと口が開いたままで固まってしまった。しかし、数秒してから、はっ! と、意識が戻り、あたふたと質問を始める。
「え、ええっ…何々!?
Aって彼氏いんの!?」
「いないよ」
軽く流す様に答えながらハンバーグを食べる。
…げっ。四ツ葉め、ハンバーグに私の嫌いなピーマンを入れたな。嫌いな食べ物を好きな料理に混ぜるとか…どんな主夫テクニックだよ。
「えー、でも同居してんでしょ?」
「同居っ!?」
「同居してても彼氏じゃないよ。同居人」
四ツ葉はサーヴァンプ。私は主人。
まぁ、そんなこと口が裂けても言えないが。
四ツ葉とは今、マンションの一室を借りて共に生活をしている。だから同居人。
きっとコレが最も人に喋れる関係の例だ。
「で、でもさ! 男女が同じ屋根の下とか間違いあったら大変じゃん! そんな心配ねぇの!?」
「間違い?」
「もー、さくやん! こんな大人しい子がそんな事になる訳ないじゃーん!」
バシン! と背中を叩かれ、
「痛い!」
悲鳴をあげ、背中を擦る綿貫くん。
コントの様な物を目の前にしている私だが、
ソレよりも綿貫くんが先程言った言葉が気になり、唐揚げを食べながら考える。
…間違い…間違いかぁ…。
「…キスは…間違いに入るのかな…?」
「えっ…」
「あ」
綿貫くんが ぎょっとした表情で私を見詰める。
声に出ていたみたい、やっちゃった。
女友達には聞こえて無いようだが…。
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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時