アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ17)

今日:32 hit、昨日:1 hit、合計:36,535 hit

8話四ツ葉とリリイさんと私part3 ページ17

リリイさんと一緒に席に座り、彼はまず「Aさん、ありがとうございました」と告げ、続けて私に話し出した。

「アナタが私に情報提供をしてくれたから今回の事件は最速かつ最良の対処が出来たんです」
「そんな…ソレが私の仕事だし…今回、私はもっと警戒すべきだったなぁ…って…」

私の仕事。それは掴んだ情報をリリイさんに伝える事だ。まぁ、危険な事をして情報を得る事は禁止と言う条件な為、余り役に立って無い事が現状だが。ソレに今回、もっと警戒していたら…もっと良い結果が得られたかもしれない…。

「Aさん、終わった事を考えても何も得ませんよ？ソレより先程の話をしましょう。
私が“あの方”がいるから大丈夫と言っていたのは…真祖の長男にして最強のサーヴァンプが彼処にいたからです」
「…！怠惰の、スリーピーアッシュが？」
「えぇ。私が言った意味は「怠惰の兄さんは強いので大丈夫」と言う訳です」

真祖の7人兄弟の事はリリイさんに昔教わった事があるが…成る程、そう言う事か。

「そして怠惰はある少年と契約をした。Aさんと同じ制服を着た子でしたが…知りませんか？」

リリイさんは自分のスマホを私に見せる。どうやら主人となった子を撮った様だ。
そこにはあの手品師の吸血鬼に勇敢に立ち向かう…あの少年が写っていた。

「城田くん…。リリイさん、この子は城田真昼くんと言って同じクラスの友人です」

城田くん…主人になったんだ。
…あの時、猫の事を聞いたのは…そっか…。やっと城田くんの謎の言動が理解できた。

「そうですか…。 Aさん。アナタに怠惰の主人…城田真昼くんを見張る仕事をお願いしても良いでしょうか？ …ご友人を見張るのは気持ちの良い物では無いでしょうが…」

…確かにそうだな。
でも、この人と…あの暖かい園の人の為になれるのならば…。

「…いえ、やります。リリイさん達には感謝しても足りない程の恩あるので」
「…ありがとうございます。何か起きたら連絡して下さい。直ぐに駆け着けて一肌脱いでみせます」

…あっ油断した。リリイさんは既に脱ごうとしている。ごめんね、止められなかったよ四ツ葉…。

「脱ぐなっ」
「あら、兄に厳しい弟ですねー」
「次脱いでみろよ。赤の他人のフリするからな」

バイトが終わったのか、何時ものパーカー姿で注文の品を持ってながら四ツ葉はリリイさんにツッコム。
…このやり取り、昔から見すぎて漫才のように見えてきた…。