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まずい、というような顔をした井上さんの代わりに、那須さんが口を開く。
「僕たち、Aさんが橋本さんと付き合えるかどうか対決してんの」
「おい那須、本人の前では言うなって約束!」
「あ!」
時が止まったように口をあんぐりと開けて固まる。
「あでも、Aさんは本人っていうかなんていうか、僕らは橋本さんに彼女が出来るかどうか賭けてるってことでね、Aさんに言っちゃってもこれはセーフでしょ」
「…そうだな」
「僕たちはAさんの味方。橋本さんと付き合えると思ってるから」
「そう!Aならいける!」
まるで悪徳セールスかのごとく、ニコニコ笑顔の2人に執拗に励まされる。
『あ、ありがとうございます…っていうか、作間さんは思ってない側なんですね』
別にいいけど。
私だってどっちかっていったら付き合えないと思うし。
「あ!その表情。悲観的になっちゃだめだよ?
さっきの感じだと他人の恋愛で遊んでるみたいに捉えられたかもしれないけど、
僕と瑞稀くんは真剣に2人が付き合えると思ってるから」
『は、はあ…』
「うん。俺らは本気だから。水族館どころじゃないよ、なんかそういうイベントとか、企画する。協力する」
『それは…ありがとうございます』
「いやそう、そもそもね?俺らは真剣に話し合ってただけで、負けた方が焼肉奢りって言い出したのはあいつだから」
『あいつ?』
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作者名:きたほ | 作成日時:2021年2月4日 17時