育成記録

言っちゃいました。Ki ページ43

み「んぅ…？」

ん？

み「んぅぅ…？」

テレビに向かって首を右に左にぐにーっとかしげて、怪訝そうな顔をしているひろみちゅが見てるのは、中居さんがゲストに来た冠番組のドッキリ企画。

北「どした？」

み「ひろー、このおっさんバカなの？」

あまりにも首を傾げるから声をかけてみたら、なんともドストレートなディスり。

み「キュウリはバナナのあじなんかしないのにヘンなのー」

いやまあ、そうなんですけどね(苦笑)

催眠術だからだよって言えば、こと細かく聞かれるだろうしなぁ…それはちと面倒臭い。

なんて考えてるうちにVTRは終わって、ロケの締めくくりの言葉のくだりになった。

あー、これは……なんて思いチラッとひろみちゅを見たけど、予想に反してリアクションがない。

あれ、面白くなかった？

それか意味がわかんなかったかな？

反応しないひろみちゅを残して、ソファーから離れた。

冷蔵庫から水を取り出して、グビッと口に含んだ途端


み「カバーダンテッヤニーナ！！！」


北「っ！？ぶふぉっ」

リビングから届いた叫び声に、含んだ水を霧みたいに吹き出した。

目の前の冷蔵庫には水滴がびっしり。

その中のいくつかが筋を描きながら垂れていく。


み「カバーダンテッヤニーナ！！」


北「こらー、夜遅いんだから大声で叫ばな……」

てっきり録画を再生して叫んでるんだと思ってた。

だから悠長に冷蔵庫拭いてたのに、キッチンから覗きこんだ先、テーブルの上でひろみちゅが覗きこんでるのは、スマホ。

しかも画面光ってるってことは……。

北「こらーっ、誰にかけてる！？」

慌てて走り寄って取り上げたスマホの画面を見て、血の気が引いた。


滝 沢 秀 明


表示されてる名前は何度見返しても変わらない。

……これ、このまま切っちゃダメかな。

み「かけてないもん！しゅけにかけようとしたらかってにそうなったんだもん！」

勝手にじゃねぇ、しゅけに連絡すんのはタブレットでって約束だったろう。

よりにもよって殿じゃねえかよ、どうすんだよこれぇ。

滝『もしもし？』

やべ、あれこれ考えてたら、放置してた。

北「っあ、はい！」

滝『カバーダンテッヤニーナってなに？(笑)』

北「え、あ、いや」

言えない、言えねぇよ。

み「なーにやってんだーばか！だよー」


言うなあぁぁぁぁぁ！！！！！


滝「へぇ」

この後、必死に殿に経緯を説明したのは言うまでもない。

笑って納得してくれたけど、夜中にこれは心臓に悪すぎる…。

じめじめでした。Ｙ→←分離しました。Ｆ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す