INNOCENT DAYS ４

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テーブル席の照明が少し落ちて、ピアノの前に座った私にピンスポットが当たる。



挨拶をしている間、ずっと緊張しっぱなしだったけど、鍵盤に向かうとスッと気持ちが落ち着いた。




“喜びも、悲しみも、自分の心に素直に弾けばいい”
“Aの全てをピアノにぶつけるの”



メリナからそう言葉をもらって、高嗣との日々を想いながら音符を綴った曲。






正直ドイツでこの曲を作っている時には、また高嗣に再会できるとは思っていなかった。



だけど、、この曲をどこかで聞いてくれる日が来るかもしれないって、希望を託した。






2人で見た景色が、永遠に色褪せないように。







高嗣に恋をしたこと。



高嗣に優しさをたくさんもらったこと。



高嗣の純粋で無邪気な笑顔が私の心を溶かして、また夢を追えるようになったこと。



高嗣のおかげで、泣けるくらいあったかい日々を過ごせたこと。



高嗣と出逢えて、2人の日々は本当に幸せに満ちていた。






キラキラした宝物みたいな、私にとって大切な日々。






言葉では言い表せないたくさんの感情を、メロディーに紡いだ。







そしていつか、見えない糸が繋がっているのなら、、、、



そんな、未来への願いを込めた曲。






………奏でる音符は、私自身そのもの。









弾き終わると、会場中に大きな拍手が鳴り響いた。




何だか胸がいっぱいで、、、ピアノが好きだ……って、諦めないでよかった……って、しみじみ感じた。



「ありがとうございました。」




深く一礼して精一杯の感謝の気持ちを伝えると、ステージを後にした。








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その後も講師の演奏が続いていたけど、空港への移動時間を考慮して、私はここで帰らせてもらうことになってる。



着替えを済ませると、事務の青木さんが用意周到に裏口に案内してくれる。



「裏の駐車場に、タクシーを呼んであるから。」



このお店は著名人も利用するらしく、個室があって裏から出入りできる人目につかない出入り口があるらしい。



「大きい荷物はもうタクシーに積んであるから。それからこれ、車で食べて？」



会場で食事の時間がない私に、青木さんがお店特注のお弁当らしきものを持たせてくれた。



「サンドウィッチや、簡単につまめるおかずを入れてもらってあるから。」



渡されたクーラーバッグが、意外に重い(笑)



「フフ、、こんなに食べきれないですよー。」



目を合わせて笑った。





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