*179〜Side:2 ページ33
.
木崎さんから聞いた話は、俺が初めて知ることばっかりで、正直頭が追いついていかない。
渡されたメモをただ見つめるだけの俺に、
「連絡を取るかどうかは、もちろん二階堂君の自由だよ。でも、中途半端な気持ちなら、Aちゃんを傷付けるだけだし………よく考えてみて?」
考えろって言われても、悩んでる程の時間もないじゃん。
「でもね。今更だけど、二階堂君と出逢ってから、、、Aちゃんのピアノは確実に変わった。それだけは言っておくよ。」
「…………。」
はぁ。
何だかんだ言いながら、木崎さんが俺の背中を押してくれてるのが伝わる。
カフェを後にして、頭に浮かんでくるのは………ただAちゃんに逢いたいっていう気持ちだけ。
たまたま今日、温泉旅行がキャンセルになったことだって、運命なんじゃないかって思える位Aちゃんへの気持ちが静まらなくて、、、気付けばメモに記されたホテルに向かってた。
とにかくまず、電話を掛けた。
………強行突破しかない、って思ったし。
「もしもし。」
久しぶりに聞く声が、胸をくすぐる。
「開けて?」
ズルいけど、部屋の前でそう言えば、Aちゃんはきっと入れてくれるから。
思惑通りに鍵が開けられて、するりと部屋に入り込む。
目の前には、逢いたかった人。
逢いたくて、、
聞きたいことだって、伝えたいことだってたくさんあって、、
なのに、その顔を見ただけで胸がいっぱいになって何の言葉も出てこない。
少しの沈黙。
ふと視線を落とすと、Aちゃんの胸元に光ってるのは、俺のあげたネックレス。
もう……それを見た瞬間、何もかも吹っ飛んで。
身体が勝手に動いて、Aちゃんを抱きしめてた。
鼻先をくすぐる、懐かしいAちゃんの香り。
どのくらい一人で泣いたの?
どのくらい一人で苦しんだの?
確かに今、この腕の中にAちゃんがいる。
「高嗣、、離して?ダメだよ、、、」
「木崎さんから、全部聞いたから……写真のこと。」
「…………。」
「ごめん…俺、何も知らなくて。Aちゃんにだけ苦しい思いさせて、、、」
「…………高嗣が、、悪いんじゃ、ないよ、、、私こそ、、ゴメン。」
途切れ途切れの言葉。
Aちゃんが泣いてる。
2人が離れてた時間を埋めるみたいに、ただギュっときつくAちゃんを抱きしめた。
.
554人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろん(プロフ) - にかはるかさん» ありがとうございます(^^♪私にとっても思い入れのある2人なので、完結してちょっと淋しくもあります。まだノープランですが、2人の未来をゆっくり考えてみますね。 (2019年10月24日 10時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 完結おめでとうございます!2人の関係がすごく好きでした。最後は号泣でした。高嗣サイドも続編も短編も待ってますので宜しくお願いします! (2019年10月23日 10時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - りっちゃんさん» ありがとうございます!後半は少しハラハラさせてしまってゴメンなさいw。私的にも、ゆっくり柔らかく愛を深めていく2人を描きたかったので、伝わってくれてるとすごく嬉しいです。 (2019年10月7日 12時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
りっちゃん(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!すごく良いお話でした…。ほっこりするというか、にかちゃんと主人公ちゃんの間には、ゆったりほんわかした雰囲気や空気感が感じられました。読んでいてハラハラする時もありましたが、読み終わるとほんわかした気持ちになることが多かったです。 (2019年10月7日 0時) (レス) id: 3f1fc3d1a7 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ひよさん» ひよさん、あたたかい言葉ありがとうございます。そして「にかちゃんがにかちゃん」って言って頂けてホッとしています♪続編、まだノープランですがwゆっくり考えますね! (2019年10月6日 1時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2019年6月25日 17時