次の扉を＊1 ページ11
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メリナ先生の強い勧めで、留学の集大成として私が出場したピアノコンクールは、世界三大コンクールに次いで、若手の登竜門として有名なもの。
世界的にも注目度が高くて、以前私が日本で出場したコンクールとは全く比べ物にならない規模。若い音楽家にとっては、このタイトルを獲得することで将来への道が開けるといわれてる。
開催は4年に1回。出場年齢の制限もあるし、私にとってはきっと最後の大きなチャンス。
それだけに、もちろん道はかなり厳しい。
………正直、覚悟も自信もなかった。
でもメリナからは『Aはどう弾きたいのか』………これから先、ひとりの音楽家として生きていくために、自分自身で音楽と向き合い、対峙しなさいって言われた。
『世界を感じなさい』
そして
『眠っている個性の花を咲かせなさい』
………そう背中を押してくれた。
学生時代には、結果を求めていくつかのコンクールにチャレンジしたこともあった。
あの頃は、家族に負担を掛けてまでピアノを弾かせてもらっていたことが負い目で、結果を残すことで『ピアノを弾く理由』が欲しかったから。
でも、今は違う。
揺るがない音楽の軸を持ち、自分らしさを追求していく場としての舞台。
“私のピアノ”を探すチャレンジ。
だから、次の扉に向かう。
未来のことはわからなくても……今は目の前のそれぞれの道に向かおうって誓った、、
諦めない事が何より大事なこと…って教えてくれた人のためにも。
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そして、、、
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授賞式の後、親しい関係者だけのお祝いの食事会があって、宿泊してるホテルに戻ったのは、もうだいぶ遅くなってから。
明日も入賞者のガラコンサートがあって、朝早くに移動するから、もう寝なくちゃいけないのに。
かなり疲れてるはずなのに、、、全然眠れない。
今日の緊張と興奮から、まだアドレナリンが出てる、、、みたいな感じ？
灯りを落として目を閉じてるけど、全くダメで。
すると、何回かスマホが震える。
一度身体を起こして、画面を確認する。
立て続けに入るメッセージ。
そして………『ごめん、起こしちゃった？』
そのメッセージの送り主は、、、
今ずっと眠れなくて、、、目を閉じると脳裏に浮かんでた人。
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作者名：めろん
| 作成日時：2020年8月6日 12時
