INNOCENT DAYS ３

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パーティーは、コンクールの主催者や協賛の関係者のほかにも、レコード会社や出版社などの音楽関係者みたいな様々な人であふれて、とにかく賑やかで華々しい。




次々にいろんな人が来て「素敵な演奏でした」「鳥肌が立ちました」……etc、嬉しい言葉を告げてくれる、、、、けど。




渡された名刺がどんどんたまってくけど、正直全員の顔と名前なんて覚えられる訳がない。





中にはお酒がだいぶ回ってるような人もいて。




「おめでとう」って言いながら「やっぱりピアニストの手はきれいだね、、、」なんて、さりげなく手を触られたり、肩に手を回されて一緒に写真を撮ったり、、、今この状況がなんだかよくわからなくなってきた。









疲れて、少しだけパーティー会場を抜け出す。




外のテラスに出て、そこにあったベンチに腰掛ける。




やっと一息付けて、思わずフーってため息が漏れた。




私は私なのに、何だか突然自分の周りが変化してるみたいな感覚に襲われて、急に不安になる。









ふと、今朝の高嗣の言葉を思い出す。




今日はあのまま結局、会場のそばまで送ってくれて……お礼を言って「じゃあ行くね」って車から降りようとしたとき、、、振り向いた高嗣が身を乗り出して、後部座席の私の腕をつかんだ。




そして、、、



「行かせたくないな。」ってつぶやいた。



すぐに「なーんて。」っていたずらっぽい笑顔を見せて、その手を離したけど。








朝からずっと「今日はどんなことするの？」とか、いろいろ私のことを気に掛けてくれてた。




演奏会やパーティーのことを伝えると「ふーん」って興味なさそうなフリしてたのに。




私よりずっと華やかな世界で生きてる高嗣だから、こういうパーティーはお仕事関係で慣れてるのかもしれない。



きっとこんな情景が高嗣の頭の中に浮かんだのかもしれないし、、、「行かせたくない」だなんて……もしかして私の事、心配してくれてたのかな。




そう思うと、高嗣の気持ちがちょっと嬉しい。









「じゃあ、頑張って。」



「うん、、、高嗣もお仕事頑張ってね。」



そう言って車を降りようとした時……



「今日も、来れたら………うちに帰ってきて///。」




ボソッて照れたように言った一言。




「…………うん///。」




最後のやりとりを思い出す。





脳裏に高嗣のはにかんだ笑顔が浮かんできて、逢いたくてたまらなくなった。






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