INNOCENT DAYS

＊15 ページ15

.




とりあえず、音大時代から少しやっていた大手ピアノ教室の講師のバイトのシフトを頼んで増やしてもらった。




………そこで知り合ったのが木崎さん。



私より10歳位上の自称イケメンピアノマン(笑)



同じ大学の出身だったこともあって、大学を辞めたことを心配していろいろ世話を焼いてくれる。





特に、音楽事務所に所属してるわけじゃない私が、こんな一流の場所でピアノを弾かせてもらえるのは、木崎さんのおかげで。



今は週に2回、この店でピアノを弾かせてもらってる。



こういう場所でのピアノは、あくまでお客様の邪魔にならないBGMとして。



クラッシックよりは、オーソドックスなポピュラーやジャズを中心に、時にはリクエストにも応えられるよう最近流行の洋楽や邦楽も取り入れたり。




木崎さんがいろいろアドバイスをしてくれる。








実は大学を辞めてから、初めて本気でピアノと向き合いたくないって思ってた。



でも結局のところ生活していくためには、私にはピアノしかなかった…。








·









自由人の木崎さんは、今は独立して主に大人向けのピアノ教室を開いてる傍ら、イベントや演奏会に出演したり、時にはスタジオミュージシャンとしていろんなレコーディングにも参加してる。



スっとした容姿は、実年齢よりだいぶ若く見えるし確かにイケメン(笑)



木崎さんのピアノは、男らしいダイナミックなタッチと、その正反対な繊細で美しい表現の両立が出来る…人を惹きつける魅力がある。








ピアノ講師のバイトだけではかなり生活が苦しかった私に、顔の広い木崎さんがラウンジのマネージャーを紹介してくれただけでなく、もう少し収入が安定するようにって、都内のレコーディングスタジオの受付の仕事も紹介してくれた。



受付といってもオフィスビルの華やかな受付とは違って、都内に数か所ある他のスタジオを合わせたブッキングだったり電話応対とかの一般事務、それにスタジオの雑務全般って感じで結構ハード(笑)



ピアノ講師も続けてるし、毎日それなりに忙しくて大変ではあるけど、余計なことを考えてる余裕がない分…今の私にはちょうどいい。






·

＊16→←＊14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す