#外回り ページ1
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ある昼下がり。
外回りで城下町を歩いていると
見覚えのある後ろ姿が見えた。
服装を見るからに
今日は非番なのだろう。
あのやる気のない背中。
あいつやな、と
思わず声をかける。
『 大先生〜、 』
「 あ!Aちゃん!丁度ええところに! 」
何やら焦っているこの男、
大先生こと鬱先生。
今度は何したんやこいつ。
大先生に隠れてよう見えんかったけど
後ろに女の人立ってるよね?
なんか怒ってるように見えるなあ。
これは間違いない。
修羅場やな。
『 あーあー、他に行かなあかんとこあるんやった。 』
ut「 まだなんも言ってないのに! 」
『 言わんでもわかる…って、は?なんで掴んでんの?離してや! 』
ut「 そんなこと言わないで助けてくれ! 」
『 え、ちょ、何したん?あの人連れやろ?ばり怒っとるやん!巻き込まんといて!私仕事中やから! 』
逃げたいけど腕掴まれてるし
殴りたいけど
一応私も大先生もこの国の軍幹部やし
国民見てるしで思うように動けない。
そして何より一番怖いのは
何も言わず表情も変えない
でも確実に距離を詰めてきてる
屑の後ろにおる女。
女からの殺意やばい、死ぬ。
「 おー、大先生やん! 」
『 シッマ!! 』
ut「 あっ、Aちゃん行かないで!! 」
同じく本日外回り当番の
コネシマが丁度通りかかった。
コネシマが来たことにより
掴んでいた腕の力が一瞬緩んだ
その隙に鬱先生を振り払って
コネシマの方へ走る。
『 シッマナイスか〜? 』
kn「 ふーん、プロ結果! 」
『 まじで助かった、ありがとう! 』
kn「 …全然話掴めへんねんけど。なんや、食われそうになったんか? 」
『 いや、ちゃうけどやばいことに巻き込まれるところやった。見てみ、大先生の後ろ。 』
小声でコネシマに耳打ちする。
こっそりと指差すその先に
鬱先生と連れの女。
『 修羅場になるで。大先生、なんかやらかしたんやろな。 』
kn「 また女か! 」
『 ちょっ、声でか…。 』
kn「 ええか、A。俺らにできることは何も無い。行くで。 」
『 せやな。 』
そう言って歩き出す。
『 あれ、何番目の女やろな? 』
kn「 お前ほんま心無いな。 」
『 お前にだけは言われたないわ。 』
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作者名:*** | 作成日時:2019年8月5日 0時