青春の結末 ページ10
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同窓会の終盤、彼が現れた。
何年かぶりに彼と目が合った。射るような視線が、痛いほど真っ直ぐに私を見つめている。アルコールを含んだ脳内が弾けた。――目なんて、合わさなければよかった。
絆されてしまうことは、ずっと前から知っている。同窓会になんて来るべきじゃなかったのかもしれない。
「……久しぶり、摂津くん」
――随分変わったね。
そんな言葉が、口をついて出そうになる。すぐ目を逸らそうとしたのに、気が付けば見上げている。
高校生だった頃と何も変わらない私とは違う。彼はあの時より背が高くて、あの時より堂々としていて。紛れもなく、大人になっていた。
「ああ」
殆ど声を出さないまま、摂津くんは頷く。話がある、とか、そういうわけではないのだろうか。……目が合った瞬間、覚悟していた自分が恥ずかしい。
彼から視線を逸らせば、談笑する昔のクラスメイトの顔が見える。摂津くんと向き合う私への視線も、いくつか目に入った。
摂津くんほどの存在感の前に、私は釣り合わない。
話していた友達のところへと後退る。今すぐ摂津くんから離れないと、私は好奇の目に晒されるだけじゃなくて――、
「なぁ、番号、変わってる？」
足を止める。止めざるを得なかった。
明らかに私に向けられた言葉には、答えを返すしかないじゃないか。
「……変わってないよ」
幹事が、2次会への移動を告げる。殆どの人と同じように、私も立ち上がる。マフラーを巻いた。
昔のクラスメイトとの話というのは予想していたよりも楽しい。少しずつ飲み進めていたお酒に、程よく酔った私の脚がふらついた。
「……っと、危ね」
肩が、支えられる。
振り向きたくなくて、彼に触れられた状態のまま動きを止めた。
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作者名：音猫 x他3人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月11日 7時
