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Side Tamamori







しかし採用通知はすぐに来た。


俺はもう大学の単位も取り終わったし、家でずっとそれを待ってた。





ポストの方で音が聞こえる度に俺はドアまで走っていって、


その封筒が入っているかを確認した。





そして3回目の、音。


もうそろそろ走るのも飽きたな、と思ってポストを見た時。





いかにもベタな感じのピンク色の封筒。



……来た。採用通知。







「……よっ…しゃっ!」





開いて、おめでとうとかなんとかってゴチャゴチャ書いてある紙には目もくれず、



もう1枚の紙の方を引っ張り出す。






《P職務についてのお知らせ》






白い紙に黒ぐろと印刷された、この文字を見つけた。


……これをどんなに待ちわびたことか。






俺は、あらゆるリスクを承知した上で、ここ1本に就活を絞ってやってたんだ。





このP職務に就くために。



……この、大きな恨みを晴らすために。








玉「………父さん」







瞼を閉じたらすぐに思い出せる。


あの時のあの父さんの顔。






……あの悲しそうな顔。









『なぁ、裕太、父さんはな、秘密の仕事をしてるんだ』



『そうなの?父さんかっこいー!』



『……はは。そうか、お前にはかっこよく見えるのか』






……そうやって、父さんは笑ってた。





今なら分かる。


今だから、やっと分かるんだよ。








あの笑顔の裏には、


あの明るかった父さんを、


死に追いやる程のものがあった━━━。







『でもな裕太。いくらカッコよくても、人に言えない仕事なんかするな。絶対するんじゃないぞ』



『うん………???』



『父さんはな、仕事選びを間違っちゃったんだ。もっと正しい仕事を、おまえにはして欲しい』



『ただしいしごと……?』



『分かったな。約束だぞ』






俺はあの時まだ小学2年生で。


父さんが何を伝えたかったのかなんて全然分かんなかった。






でも、長じるにつれて分かった。


俺のヒーローだった父さんは、会社の仕事のために精神を削って。




俺と母さんと弟を養うために無理して無理して無理して。





そして、


俺の中学3年生の最後の日。






限界を迎えて、


1人で首を吊った。







「………父さん」






瞼を開く。


この会社に入るために作った大量のノートが視界に映る。








父さん。






……俺はやっと、





父さんと同じ会社に入って、


同じ仕事に就けたよ。

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設定タグ:Kis-My-Ft2 , 宮玉 , ノンリアル   
作品ジャンル:タレント
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ほか - 最新話まで一気に読ませていただきました(^^)りんごさんのペースでよいので是非この先を更新してほしいです!楽しみにしております! (2021年9月4日 21時) (レス) id: d8f5e0d33c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» まだ読んでいただけたなんて!嬉しいです…本当にありがとうございます! (2020年10月3日 23時) (レス) id: b136585c56 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさん、更新ありがとうございます!ここは更新されるたびに楽しみに読ませて頂いています!この先…ミヤは裕太を守って欲しいですね。更新のんびりゆっくりお待ちしていますね。 (2020年9月11日 4時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» 返信してなくてごめんなさい、ありがとうございます! (2019年7月26日 18時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさんこんばんは。ちゃんと読んでいますよ!お待ちしてましたから。大丈夫です、私ものんびりしてますから〜。やっとみっくんから解放された玉ちゃん…みやっちとうまくいくといいんですが…。まったりとお待ちしてます。 (2019年1月17日 21時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんご | 作成日時:2017年4月22日 18時

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