True Love【 北×壱 】２

51 ページ2

.



『いらっしゃいませ』


カラン 、と
店内に鳴り響く入口のベルの音 。

お客様が入ってきた事を知らせる音に
作業していた手を止め振り返り 、
席へ案内する 。


まだまだ季節は夏真っ只中で 、
今日は生憎の大雨 。
ジトッとした暑さに「嫌な暑さですね」と
常連で来てくれている 、
大学生の"ハルカちゃん"に声をかけられる。



『湿気凄いもんね、今日』

ハルカ「はい、巻いた髪も取れちゃって…。せっかく今日彼氏とデートなのに〜っ」



「あーあ」と、深くため息をついて
席につくなり項垂れる。

お店に来る度 、彼氏との惚気話をたくさん
話してくれて 、この子は今どきの子 、
という言葉がよく似合う。


流行りに弱い私が 、
RAMPAGEを知ったのもこの子のおかげ 。



『あ、もうすぐお店落ち着くから、私髪の毛アレンジしよっか？』

ハルカ「えっ！いいんですか？！」

『実家にいた頃、よく妹の髪の毛結ってたから』

ハルカ「わー！！Aさんさすがっ！大好き！！」



せっかくのデートだもんね、
雨なんかで台無しにして欲しくないもの 。

「待っててね」と言うと 、
キラキラした目で「はい！」と返事をされ 、
その姿が可愛くてつい笑ってしまう。


カウンターへ戻り 、
先程していた作業を続ける。




.

52→←50

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す