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ある日いつものように、行きつけの古いお蕎麦屋さんへ行き、一杯のかけ蕎麦を注文した。
するとジャニーズJr.の岸優太くんそっくりの店員さんがそのお蕎麦を持ってきた。
即座に二度見した。
なぜなら私は、まさに岸優太くんの大ファンだから。
だけど普通に考えて、それが本人なはずはない。
アイドルとして大活躍する岸優太くんがこんな所でバイトしている訳はないからだ。
その後も私は、これまで通りその店に通った。
岸くんではなく、岸くんそっくりの店員さんを目当てに。
「…かけっす」
声も喋り方も、ドンブリを持つ指の感じも、全部が全部本物の岸くんそっくりで、
まさにその店員さんはタイプだった。
本物じゃなくても良い。
とにかく関わりたくて、足繁くそのお店に通う内に、嫌でも気付くようになったのだ。
比較的シフトに規則性のあったその店員さんが、
アイドル岸優太くんの収録や舞台のスケジュールに合わせて、お店に現れなくなることに。
ロケで日焼けしたり、頰にニキビが出来たり。
まるで本物の岸くんとリンクするかのように、見た目も行動も一致して見えてしまうその人に、私はついに尋ねてしまった。
「……岸、優太くんですか?」
ファン仲間にもそれ以外の友人にも家族にも、
誰にも打ち明けたことも相談したこともないこの思いを、ついに本人にぶつけてしまった。
「……違います」
冷静なその一言に、熱が冷めた。
「……人違いっす」
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さくら - とても良い作品でした。自然と物語の最後には涙があふれてきました。突然ですが、続編の方を見たく、検索してみましたが見つからず、どのようにしたら見られますか? (2018年12月15日 16時) (レス) id: 0ab5784288 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年7月20日 10時