奇蹟 [コード・ブルー] (ページ4)

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「あ、藍沢先生いいところに！！」
藍沢「...お前は俺を何だと思ってるんだ」

あきれた声で言いながらも手元にあった大量のカルテを半分、いやそれ以上持ってくれた。

藍沢「薬は毎日飲んでるか」
「飲んでますよ～！」

当たり前じゃないですかぁって言いながら歩幅を合わせて隣を歩いてくれていた藍沢先生を見上げる。

私はどの世界で生きていくのにもハンデを持っている。わざわざ周りに伝えるような世界でもないので、このことを知っているのは一部の先生と看護婦長を含めたナース数人。

私は、先天性心疾患を持っている。

今の日本では、生産児の約一パーセントの確率で先天性心疾患を患って生まれるらしい。

医療技術の進歩により、年間死亡率は低下。その代わり私のように先天性の心疾患を持ったまま大人になっている人たちの割合も増えつつあり、珍しいことではないという。

藍沢「定期健診、怠るなよ」
「はぁーい」

藍沢先生から厳しめの視線を感じて少し後ろを歩いた。

この病院に配属になったと同時に、今まで通っていた病院でお世話になっていた先生が退職されるとのことで、こっちのほうがいいお医者さんがいるからと先生が変更になった。

わかる人にはわかると思うんだけど、新しい病院、先生ってどうも通院しずらくて...。

前回の定期健診をさぼったらなぜか藍沢先生から呼び出しを受けてそのまま連行された。

と、いうのもたまたま心臓外科に呼び出しをされた藍沢先生が担当の先生から話を受けて、橘先生に相談しに行ったら、忙しいからお前が行け、といわれたらしく。

保管室まで来ると、藍沢先生は持っていたファイルを置くとそそくさ出て行った。

「ありがとうございました！」と後ろ姿に向かって言ったんだけど、聞こえてたかなぁ。

定期検診の日は明後日かぁ。

そう思いながらファイルを丁寧に入れると自分も次の仕事をすべく速足にその部屋を出た。