39.黄色の影 ページ40
黄瀬とは全く話さなくなっていた
もう、それが当たり前だったかのように挨拶もせず、目も合わせず、会話もせず……
何度かひなが場を設けようとしてくれたが、断った。たぶん、まだ彼は怒っている
何に怒っているかはわからないけど、勘違いだったならあの日に謝りに来てくれただろう。いくら気まずくても、そういうことに関してはちゃんと謝りに来てくれる人だから
だからこそ、来ないということはまだ何か彼の中で許せないことがあるのだろう。それが私なのか、自分なのか。たぶん、前者だろうが
だから、私も自分から黄瀬に接触しようとは思わない。それに私の方が今、黄瀬と何を話せばいいかとか、これからどう過ごすとか考えられなかった
だから、このままでいい……。そう思っていた
気づいたのは偶然
秋が過ぎ、バスケ部が二連覇し、冬が過ぎ、春を迎え、また夏に差し掛かりそうだった時期
たまたま部活帰りの黄瀬を見つけた。一人なんて珍しいなとか、帰る方向一緒って面倒だなとか、ストーカーみたく思われていないかなとか、どうでもいいこと考えていたとき
ひゅうっと吹いた風から、黄瀬の暫く見なかったつまらなそうな、日常に飽き飽きしている瞳を見た
それを見た瞬間、足が止まった。黄瀬は気づかない
なんでそんな退屈そうなの
なんでそんな気怠そうなの
なんで……そんな目をしてるのっ
気づけば黄瀬の背中が見えなくなっていた
それは黄瀬が遠ざかったからではなく、私が
なんで自分が泣いているのか、何が悲しいのか、全然わからなかったけど、涙が止まらなかった
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時