30.いつも通り ページ31
右手首は全治二ヶ月とのことだった
そのため、部活はおろか大会にも参加できないという事態に部長だけでなく、コーチからもこっぴどく叱られた
「まあ、それはまだいいんだけどさ」
「よくないでしょう？」
ばりぼりとポテチを食べている紫原くんは何か言いたげそうに眉をひそめたけど、気にしない！
それよりも、
「書けない方が辛い……」
ミミズが這ったような悲惨なノートを見て、机に突っ伏す
ちょうどテスト期間に被ってしまい、もう悲しみの雨が私の頭上で振り続けている
はあ、とため息をついた瞬間、ガタンッと前から衝撃がきて思わず顔をあげる
「あら、ひっどい字ねえ」
「……工藤さん」
明らかにこちらを馬鹿にした言い方と表情に、顔をしかめてしまう
「怪我、痛そうねえ」
「そうでもないです」
「何があったの？」
「ちょっと挫いただけです」
「手を？」
「手をです」
白々しい工藤さんの態度に、どうしても棘のある言い方になってしまう
いや、あそこまでされといて今更気を使う必要はないか
どうやら私は昨日以来、何かが吹っ切れたらしく、いつものおどおどした態度が抜けていた
それが気に入らなかった工藤さんは盛大に顔を歪め、舌打ちをする
「あんた生意気っ」
「そうですか」
「黄瀬くんに嫌われるわよ」
「もう嫌われてます」
あー言えばこー言うとはこのことだなと思いながら、工藤さんの嫌味に淡々と返す
工藤さんはイライラした口調を隠さずにまた何か言う前に今度は私が言った
「工藤さんこそ、本性が黄瀬にばれますよ？」
それが引き金だった
工藤さんは顔を真っ赤にし、ガタンッと座ったときみたいに荒々しく立った
やっちゃったなあ、と思いながら何を言われるのか工藤さんから目を逸らさず、待ち構えていると
バンッッッ
工藤さんが言葉を発する前に、私の机を教室中の人がびっくりするくらい大きな音を立てて叩いた人物が、私と工藤さんの間に割り込んできた
第三者の突然の乱入？で、私と工藤さんも驚いてみると、そこにいたのは同性の私が見惚れるほどの笑顔をした水色さんがいた
「どうも、こんにちわ」
ただし、その笑顔はここにいる誰もが怯えるほどの黒さがあった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい！！まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか？とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます！ (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです！ (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 | 作成日時：2018年3月31日 14時
