23.本心 ページ24
それなのに一歩を踏み出せない私は本当に臆病だ
はあ、とため息をつき俯く。そのとき、横からの視線を感じた
「……紫原くん?」
「Aちんってさ、何をそんなに守りたいの?」
脈絡のない話に眉根を寄せる
「どういう」
「自分を偽ってまでさ、ひなちんを避ける理由って何?」
私の言葉を遮るように言ったのはわざと。ひゅっと息ができなくなる
お菓子以外のことでこんなにも感情を露わにする彼を私は見たことがない。彼は私が怯えたのがわかったのか、少し気まずそうに前を向いた
「女子って面倒くさい」
「うん」
「ひなちんは変わらないよ」
「うん」
「黄瀬ちんのことも口出さない」
「……うん」
そこまでわかってるなら、なぜ彼女を避けるのかと彼の空気がそういっている
わかってる、他の女子とは違うことも
私の恋情を知っても応援してくれるだろう
孤立されたら傍にいてくれるだろう
頭でわかっていても行動できない。過去のトラウマが私の動きを封じる
ぎゅっと自分の体を抱きしめるように座る。紫原くんがちらりとこちらを向く気配がした
「Aちん勘違いしてるから教えるけどー」
ぽんっと頭に彼のてのひらがのる
「ひなちん、あれでも結構参ってるよ?」
「え……」
ぽんぽんくしゃり、とされたてのひらをそのままに顔をあげる。紫原くんの視線の先には赤司くんに微笑む水色さん
「黒ちんが言ってた。ひなちんは頼るのが下手くそなだけなんだって」
「へたくそ……」
「うん。だから、本心は辛くても我慢しちゃうんだって」
黒ちんさんが誰かは知らないけど、もしそれが本当なら……
いや、本当なのだろう。私が見なかっただけだ
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時