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2.鳥肌と慣れ ページ3

さて、私もあんな馬鹿を気にしてないでさっさと弁当を食べちゃおうと、すでに机をくっつけて弁当を広げている友達のところへ向かう

ごめんね、と声をかけながら自分もお弁当の包みを開いていると「上月(こうづき)さん」と呼ぶ声がして振り向いた。そこには、クラス内でも周りから距離をとられ、浮いている工藤さんたちとその友達二人がいた

なんともやっかいな人たちに声をかけられ、冷や汗が流れる。といっても、声をかけられたのはこれが初めてではないのだが


「えっと……なんですか?」


相手の顔色を伺いながら恐る恐る聞いてみる。きっとさっきのことなんだろうなあと内心思いながら口には出さず……


上月(こうづき)さんって本当に黄瀬くんとはただの幼馴染なのよね」


はい、やっぱりー。口腔まで出かかったため息を寸でのところで飲み込む

工藤さんは学年でも有名な〈黄瀬涼太ファンクラブ〉に所属している。略称〈きせりょファン〉だ

私は無理矢理口角をあげて笑う


「私が黄瀬となんてそんな烏滸がましいよ」

「どうかしらねえ」

「その割には随分仲がよろしいようですし」


勘ぐるような目に鳥肌がたつ。あー、嫌だ嫌だ、この瞳……

心臓がばくばくとうるさいのを感じながら、平静を装う。ここで変に動揺したらダメだ。この手の経験はもう嫌というほどしている

震える手がばれないようにお弁当を包んでいたハンカチを握りしめながら、笑顔を保つ


「幼馴染って言っても、もう全然だし。そもそも住む世界が違うでしょ?」


ないない、と顔の前で手を振る。それでも疑っている目にぞわりぞわりと身の毛がよだつ

あー、そろそろ口角が疲れてきたなと感じたとき、運よく工藤さんたちは「ふーん、そう」と言って去って行った

今度こそ息を吐き、手にかいた汗をハンカチでふく。友達に顔色が悪い、大丈夫かと心配の言葉を受けながら笑って大丈夫だと告げる





いつまで経っても慣れないもんだなあ……

噓を吐くことにはこんなにも慣れたのに、つくづく自分の体の方が正直で嫌になった

3.的を射る→←1.日常茶飯事



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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時

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