16.不器用なつきあい ページ17
結局私は早退した日と次の日も休み、その間に土日に入ったので計四日学校を休むことになった
久しぶりに登校すると、友達や紫原くんがもう大丈夫なのかと心配された。もう大丈夫だと告げれば、無理しないでねと念を押された。特に紫原くんに……
まあ、そんなことよりも授業の方が心配だなあとぼんやり思いながら席に着くと見慣れないノートが入っていた。無記名のノートに昔の嫌な記憶がよぎるが、わざわざ嫌がらせでノート一冊を使う人はいないだろうと思い直す
じゃあ、なんだろうと首をかしげていると、ふと後ろから視線を感じた。振り向くと、水色さんがこっちを見ていて私と目が合うとぱっとそらされた
彼女らしくない挙動不審な様子に眉をひそめるが、もしやと思いノートを開いてみる。すると、あのメモと同じ達筆な文字で休みの分の授業が綺麗にまとめられてあった
なんで……。そう思って、信じられない目で彼女をもう一度見るが今度は目が合わない
腑に落ちないでいると、声がおちた
「仲良くなりたいんだってぇ」
「……紫原くん」
さっきまいう棒を食べていたくせに、今手にあるのはポテチだ。朝からそんな高カロリーなものを食べて、よく太らないなあ
なんて思いながら、意識を戻す
「仲良く?」
「うん。ひなちんがねぇ」
私の後ろ席に腰掛けながら、紫原くんがそんなことを言う。私はびっくりして紫原くんの肩越しに水色さんを見る
黄瀬と何やら談笑していて、こっちを見ていないがなんとなくこちらを気にしているのは伺えた
「でも、ひなちんは自分と関わるといろいろ面倒事に巻き込んじゃうからできないけどぉって」
その言葉にあっと声が出る。やっぱり気づいてたんだ。この間のこと……
友達になりたいけど、自分が話しかければ黄瀬の取り巻きが黙っていない
だけど、何かしらの接点は持ちたくて……
その結果がノート
なんとも不器用なやり方に思わず笑ってしまった。それを見て、紫原くんは柔らかく目を細めた
「こっそりでいいから、話しかけようかなあ……」
「うん、ひなちん、喜ぶよ」
そのときは嬉しかったのに
タイミングというのは本当に最悪で
私はいつも中途半端なのだ
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時