12.落ちる瞬間 ページ13
世の中、顔。そう口癖のように呟いていた黄瀬は、実際外見でしか判断しない女子たちに辟易していた
みんなに平等に接しながら、笑顔の下では疲労でもうへとへとだった
それに気づいていたのは私だけ……のはずだった。だったのに……
「な、んのことっすか」
声が震えてる
図星を指された黄瀬はわかりやすいほど動揺していた。あの薄っぺらい笑顔が取れかけている
この時点でもう黄瀬が彼女に惹かれるのは決まっていたのかもしれない
「疲れたなら疲れたっていいなよ。あんたのファンなんだから、ちゃんと聞いてくれるでしょ？」
コテンと首をかしげる仕草。それを見て羞恥か、見惚れてか黄瀬の顔が赤くなる
あー……ダメだな。幼馴染というのは皮肉なもので、何を考えているのか長年の付き合いから表情、言動の一つでわかってしまう
だから、私はわかったのだ
「張り付けた笑顔よりも、男子たちと話すような素の笑顔の方がずっといいよ」
この日、初めて見せた水色さんの微笑みに警報が鳴る。黄瀬が落ちると……
黄瀬はテレを隠すように頬をかきながら、水色さんに聞く
「それは……あんたもっすか」
「もちろんっ」
即答した彼女に黄瀬は完全に落ちていた
彼女は話はもう終わったのだと思ったのか、「じゃあね」と言って今度こそ教室を出た
暫く時間が経っても教室を出ない黄瀬。私は普通を装って、教室の中に入った
「……何やってんの、気持ち悪い」
想像していたのよりもずっと呆けた顔をしていたので考えるのよりも早く、そんな言葉が出ていた
黄瀬は赤い顔のまま、顔をしかめた
「あーあ、せっかくいいことがあったってのに、Aのせいで台無しっすよ」
「いいことぉ？」
ここで聞かなきゃいいのに、聞いちゃう私も大概馬鹿だ。ほら、案の定黄瀬は満面の笑みでこういった
「俺、好きな人ができたっす！」
それは犬猿の仲になって以来、何年ぶりに見たのだろうかという純粋無垢な黄瀬の笑顔だった
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい！！まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか？とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます！ (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです！ (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2018年3月31日 14時
