私の仕事 ページ46
にぃにsaid
扱いはひどくなった。
Aが最も恐れてたことだ。
何も与えられなくなった。
会話もなかった。
同じ家の中にいるのに、存在がなかった。
気味が悪かったよ。
その頃からだ。
自分の親を親として見れなくなったのは。
こんな家に居たくなかった。
でも居なくなったら、Aの家族が本当にいなくなる。
だからAが家を出れる年になるまで家に居た。
Aが家を出る時にも、何も言わない親だったよ。
俺にだけ、頑張れって言ってた。
無視してやったがな。
もう関わりたくなかった。
一生関わる気もなかった。
この家にも、戻ってくる気なんてなかった。
それで、両親は今年いなくなった。
嬉しくも、悲しくもなかったよ。
親がAに向けた感情そのものが、俺が親に向ける感情になったんだ。
無関心、それだけ。何も思わなかった。
でもAは律儀に葬式の準備もして、今となってはここに住んでる。
どう思ってるんだろうな。
まあ、長くなってすまない。これだけだ。
二「Aがおかえりって言ってくれないのは…」
言いたくない、もしくは言えないんだよ。
言われたことがないんだ。
Aも、ただいまなんて言わないぞ。
おかえりが帰ってくることがないからな。
玉「大丈夫ですって、言わないのはなんでですか」
…平気です、か？
玉「はい。大丈夫って聞くと絶対そう言います」
必死に作ってるんだろ、壁を。
それ以上踏み込んでこないように。
お前ら、わかってやってくれないか。
Aは怖いだけなんだよ。
自分への関心がなくなることが。
甘えることを封じただけなんだ。
もう一回、その封じを解いてやらないといけないんだ。
俺は、それがお前らにできるんじゃないかと思う。
見たところ、Aを結構大事に思ってくれているらしいからな。
親ももういないことだし、Aはもっと幸せになるべきなんだよ。
だから…
頼む。
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作者名：苺パンダ | 作成日時：2020年3月12日 20時
