物語 ページ21
.
あれからどれくらい経ったのだろう ｡
なんだか ､
懐かしい夢を見てしまって
起き上がったときに 、そんなことを思った ｡
カーテンと窓を開けると ､
爽やかな初夏の風が 一気に部屋の中へ入ってきた ｡
ミルクティーをグラスに注いで ､
テレビを点ける ｡
ニュースを聞き流しながら 、
フライパンに油を引いて 、卵とベーコンを火にかける ｡
食パンはトースターに入れて ､
冷蔵庫からジャムを取り出した ｡
テーブルにそれらを持っていくと ､
その瞬間に流れてきた映像に
釘付けになってしまった ｡
『ソウル芸術祭典が昨日、ソウル市内で開催されました。目玉となる “ 今年の俳優賞 ” は、キム ソクジンさんが初受賞を果たしました』
トロフィーを受け取って ､
感極まったのか 目元を押さえながらステージへ上がる姿 ｡
途端によみがえる ､
あの シャンプーの柔らかい香り ｡
髪型も髪色も 、心なしか顔つきまで 少し変わったように見えるけれど
その微笑みは 、あのときのまま
暖かい ｡
「…ジンくん……」
久々に口ずさんだ その名前 ｡
じんわりと体温が上がってくる ｡
『ありがとうございます。本当にありがとうございます……！』
盛大な拍手がジンくんに送られる ｡
『今まで応援してくださった皆様に最大の感謝を伝えたいです。ええっと、そして……』
少し照れたように微笑むジンくん ｡
私の前で見せた笑顔と 、同じ姿 ｡
大きな瞳が 、真っ直ぐにカメラを見据える ｡
『僕には、沢山の人を笑顔にすることが出来る俳優になるという夢がありました。
そして、その夢が叶うことが自分の夢だと言ってくれた人がいます。
僕はその言葉に、今までずっと支えられてきました。
どんなに辛くて、投げ出したくなっても、僕の夢はその人の夢でもあるから、諦めるわけにはいかないと、一生懸命やってきました。
その人は、今どこにいるのか、何をしているのか、もうかなり時間が経ってしまって僕は知りません。
だから今日、ここで言わせてください。
本当にありがとう。
これからも新しい夢を僕と叶えていきましょう。
愛しています。
ありがとうございました！』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3278人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆちこ(プロフ) - ポンナル・・・(号泣) (2020年12月13日 22時) (
レス) id: bc049b52d2 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - スメラルドの伝説みたいですね…最後に報われて良かったと心から安心しました (2020年1月4日 14時) (レス) id: 52952f4d90 (このIDを非表示/違反報告)
yka.(プロフ) - 本当に大好きなお話です。一本の映画を見終わった時の感動、いや、それ以上の世界観に本当に引き込まれました。読んでいる時もう情景が浮かぶというか…本当に大好きなお話です。こんな素敵な作品ありがとうございました。 (2019年8月16日 9時) (レス) id: 537e4a64df (このIDを非表示/違反報告)
kasuminm(プロフ) - とてもとても大好きなお話です。出会えたことに感謝します。今まで読んできた作品の中で一番儚く、綺麗で切ない物語です。ありがとうございます。 (2018年11月24日 12時) (レス) id: 33b54539c5 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 最高すぎる。ユンギは坂を登り彼女は坂を下り、海の見える丘でユンギの煙草の匂いが彼女の鼻をかすめる。青空の下でまた出会う2人。感動しました。 (2018年11月3日 10時) (レス) id: 49a7a7eeba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：如月
| 作成日時：2018年3月17日 21時
