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プロローグ ページ1

__昔昔、罪を犯した一人の女がいた。
子供ができない故に、他の母親から双子の赤ん坊を奪った罪だった。
数年後、女はまた罪を犯した。育てることが出来なくなった双子を、森の奥に捨てたのだ。
その後、女は帰ってきた双子の手によってコ、ロされた。罪深い“魔女”として…。

かつて母と呼んだ女の亡骸は、“始まりの罪”へと姿を変えた。双子はそれを七つに分けて、世界中にばらまいた。
色欲、悪食、傲慢、怠惰、嫉妬、強欲、憤怒…七つの罪はそれぞれ器に宿る。
悪意の器を手にした者は、如何なる結末を迎えるのか…?

__この事件から100年ほどの時が経ったある日のこと。

「わぁ、さすが露伴ちゃん!相変わらず絵が上手ねぇ!」

「おいおい鈴美…。僕はプロの画家だ。絵が上手いのは当たり前だろう?いい加減子供扱いは良してくれないかな…」

とある国で名の知れた画家、岸辺露伴は、キャンパスに描かれた絵を見て感心した様子を見せる幼なじみの女性、杉本鈴美を見てため息をついた。キャンパスにはピンクの髪のショートヘアの美しい女性の立ち姿…鈴美をモデルにした絵が描かれている。

「…ま、いい息抜きになったから、そこに感謝しないこともないかな」

「そういう素直じゃないところも相変わらずね…ま、そこが露伴ちゃんらしいけど…」

少し口元に笑みを浮かべる露伴に、鈴美はクスリと笑いかける。
親同士の付き合いの関係で、2人は小さい時から一緒にいることが多かった。鈴美は歳下のロハンを、まるで弟のように可愛がり、露伴の方も、今は態度にこそ出さないが、鈴美に対して実の姉のように慕っていた。
その時、鈴美は壁に飾られた時計をちらりと見て『あら』と声を上げる。

「もうこんな時間になってたのね…そろそろ帰らなきゃ」

「外、暗いぞ?一人で平気かい?」

「あら、心配してくれるの?」

「…別に、そんなんじゃあない…!」

からかうような口調の鈴美に対して、露伴はどこか照れた様子で顔を逸らす。そんな露伴を鈴美は、内心可愛いなんて思いながら微笑んだ。
彼に対して別れの挨拶を済ませた鈴美は、そのまま彼の家を後にした。
露伴の言っていた通り、辺りはもう真っ暗。早く帰らなきゃと早足になっていた時だった。

「…花…?」

不意に鈴美は足を止めた。ふわり、と花のように甘い香りが、彼女の鼻をくすぐったのだ。

プロローグ2→



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作者名:Choco | 作成日時:2021年1月22日 23時

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